
研究テーマ
朝鮮語史、書誌学
高校生に向けた研究内容の紹介
私の研究内容(研究の目標というべきかも知れません)は、些か抽象に失しますが、「訓民正音(ハングル)」の作られた直後、15~16世紀の韓国語、そして、その言語を載せた書物そのものを通して、文献の執筆、編纂にたずわった当時の人々の息づかいを読み取ること、とでもなりましょうか。
最近では、韓国の伝統声楽の旋律に反映される古い時期の韓国語のアクセント、朝鮮初期の禅僧による禅籍の受容と理解、といった事柄についても、研究を進めています。
ゼミナール/研究室のテーマ
韓国学資料の探求
ゼミ/卒業研究の紹介
私の担当するゼミでは、参加者銘々が1・2年次までの学びに基づき、朝鮮半島にまつわる言語、文学、文化、歴史、…、等々の様々な事柄に対し自ら問いを立て、必要な資料を集めて検討、最終的には各自の「創見(オリジナルのアイデア)」を導き出し、一本の論文にまとめることを目標にします。いかなるテーマを扱うにしても、各自扱う資料の「ことば」に虚心に向き合い、読み解くプロセスを大切にします。
プロフィール
『続日本紀』に「美濃・武蔵の二国の少年、国毎に廿人をして新羅語を習はしむ。」(天平宝字五年正月乙未)と見えます。美濃の少年が、武蔵国府近くで新羅語の子孫を学び、ついに専門としてしまったのは、蓋し偶然でしょう(上の文は、「新羅を征たむが為なり。」と続きます。この学習・教育動機の繰り返されぬことを、切に祈ります)。その後、「新羅」と共通の語源を持つ「ソウル」へ留学。この時期は、様々な面において、現在の私を形成したとように思います。
高校生へのメッセージ
今になって振り返ってみると、留学中も含めた学生時代というのは、自身の興味、関心を伸ばすための時間、体力、機動性に、この上無く恵まれた時期でした。長期的な目標を見据えて計画的に歩を進めるのは、もとより尊いことです。しかし一方で、心の赴くまま、「今、ここでしかできないこと」を手当たり次第に楽しんでゆくうちに、最初は伸び放題に生い茂っただけの「関心事たち」の叢の中に、だんだんと自分ならではの路が浮き出てくることも、あると思っています。