
研究テーマ
伝統工芸、技能継承
高校生に向けた研究内容の紹介
伝統工芸に使用される天然材料の特性や手仕事の道具、技法に着目し、人にも環境にも優しいものづくりについて研究しています。また、現地調査やインタビュー調査を通じて、つくり手である職人の技能や知見を記録・明文化し、次代への継承や異分野との共有を視野に入れた取り組みを行なっています。自然の循環に応じて各時代・各地域の人々の生活を支えてきた伝統的なものづくりを主題とし、定性的・定量的手法を用いた学際的な研究を進めています。
ゼミナール/研究室のテーマ
伝統工芸と伝統意匠についての研究
伝統工芸における社会・産業的実態の解明をテーマに掲げています。一言に「伝統工芸」といっても、「そもそも伝統工芸とは何か」「職人とはどのような人か」「技能と技術は何が異なるのか」など掘り下げるべき点がいくつもあります。なかでもこのゼミでは、研究対象が抱える問題点に着目しながら研究を進めています。
着物や帯の柄、千手観音が手に持っているものについてなど、学生が取り組んでいるテーマはさまざま。単に知識として伝統工芸を理解するだけでなく、直に触れるチャンスを作るためフィールドワークにも力を入れています。寺院に足を運んで仏具や庭を拝見したり、職人と直接コンタクトをとって話を伺ったり。そうして浮かび上がってくる問題点の一つに、人から人への継承問題が挙げられます。また、若手職人が技能を発揮できる場の減少や目利きの減少など、産業全体に関わる新たな問題が垣間見えることも。
自身が職人になること=伝統産業に寄与することではありません。学んだことを生かせば、違う分野からでもサポートすることが可能です。工芸と意匠について学びながら、時代とともに受け継がれてきたものづくりの在り方や文化的背景も一緒に考えていきましょう。
ゼミ/卒業研究の紹介
京都の町の中に溢れる工芸の意匠を対象とした研究を行なっています。現地調査を通じて実践的に学ぶことによって、意匠の意味や由来、各時代に支持された社会的・文化的背景について理解します。京都において受け継がれる伝統的な意匠を学び、現代へと続く日本人の願いや美意識への理解を深めることを目的とします。工芸と意匠について学びながら、日本社会において受容され、継承されてきたものづくりの在り方を考えてみましょう。
プロフィール
大学卒業後に京都の専門学校で漆工芸の蒔絵技法を学びました。専門学校卒業後は大学院に進学し、以来伝統工芸に関する研究に携わっています。趣味は写真撮影と研究です。風景写真から動植物、建造物、工芸品、試料に至るまで被写体は様々ですが、写真撮影を通じて観察・記録・分析を繰り返していたことが研究の礎となり、現在の仕事においても非常に役に立っています。
高校生へのメッセージ
高校時代の進路選択において、文系に進むのか、あるいは理系に進むのかということに頭を悩ませる人も多いと思います。私は高校・大学時代は文系でしたが、大学院進学時に理系に転向しました。漆という材料をもっと深く知りたかったことが理転のきっかけです。既存の枠組みや自分の思い込みにとらわれることなく、信念を持って突き進んでください。そして、多角的な視野を持って、いろいろなことに挑戦してみてください。