中野 宏幸

NAKANO HIROYUKI
文化学部 京都文化学科 教授
学位
博士(工学)(東京大学)
土地経済学修士 (英国ケンブリッジ大学)
専門分野
観光人類学、観光政策、都市・交通学

研究テーマ

都市の成長と発展に関する「対話的交流モデル」の時空間分析

高校生に向けた研究内容の紹介

国内外の都市・街の歴史文化や営み、交流に関わる現象を俯瞰し、「旅」に向かう人の心理、出会いで感じる「共感」「遊び」の意識の構造を基軸として、地域で接する人との関わりを深め、交流価値増進とその高質化・円滑化を促進し、地域で接する人々とのつながりをさらに深めていくためには、どうしたらよいか、を研究しています。
このなかでは、観光の現場での対話的交流を視座に据えながら、地域という社会・空間の中で、住民・地域の方々との連携の下、どのように地域のアイデンティティの形成やガバナンスの構築を図っていくのか、それらの変容・進化のプロセスをどうとらえるか、関心を深めています。

ゼミナール/研究室のテーマ

交流・観光と人類の発展:京都と世界の視座から考える

ゼミ/卒業研究の紹介

「交流・観光と人類の発展:京都と世界の視座から考えていこう」とのテーマの下、世界各所でみられる出会いや対話・つながりの中で感じる「共感」や「楽しみ」、人・組織・コミュニティという多様なレベルのコミュニケーションに着目しつつ、これからの交流・観光やコミュニティのあり方を考えていきます。

ゼミでの学びは、京都を核とし、国内外の都市・街との比較研究を基盤とします。食や自然への指向など多様化する「旅」のダイナミズムにも関心を広げ、世界の動きを俯瞰しながら交流・観光とそれを取り巻く現象の変化を人類の発展の視座からとらえていきます。ゼミ活動ではフィールドワークを積極的に行い、地域のアイデンティティや産業・社会との連環、空港や鉄道などの陸海空の交通や都市インフラの機能、移動や情報の技術革新、コミュニティにおける関係者の連携の取組なども学んでいきます。

1年次には、京都の寺社や行政、地域の方々への訪問の機会、街歩きへの参加を通じ、多面的な見方や本質にふれていきます。2年次には、研究の基礎力を養うとともに、世界の街にも関心を拡げ、文化や価値観の多様性への理解を深めていきます。3年次以降は、食文化などの体験型フィールドワークやグループでの企画活動をとりいれ、体感的な視野を広げながら、各自の問題意識を明確にしていきます。これらの活動には、企業・行政や有識者とのワークショップを組み込み、実務とも接しつつ研究とキャリア形成に資する学びを深めていきます。

自らの世界観をもち、事象の背景や意味、事象間のつながりを洞察する視点をもってほしいと思います。弛まぬ進化に向け、時代環境に対する感性を育みつつ、地域と協働した創造的な思考を養うことを目指していきます。

プロフィール

神奈川県出身で、高校までを鎌倉で過ごし、大学院修了後は、旧運輸省(現国土交通省)に入省して、30年以上勤務しました。交通や都市・地域づくりの行政に長く関わりましたが、その間、機会を得て英国への留学、官民交流等での総合商社及び成田国際空港株式会社の勤務、県警察や海上保安庁、経済分析を行う経済企画庁やサイバーセキュリティ・危機管理を担務する内閣官房の勤務などを経験してきました。福島県警察に出向した際には、地域を真摯に守る警察官の方々と仕事し、また地域の安全安心を見守る多くの地元のボランティアの方々と接する機会を得ました。 留学の際には、英国内の自治体へのインタビューのため、多くの地方都市に行きました。そのときにいつも感じたのは、地方都市で暮らす人々の表情の明るさと笑顔でした。あのような笑顔や楽しみの気持ちを今の日本でも、もっと感じとることができるのではないかと考えています。「旅」は、その大切なきっかけになります。旅する人の思いは、いろいろな方々に伝わり、街はもっと明るくなっていきます。 研究調査の面では、国内の都市地域、欧米アジアやオセアニアなど世界各地のウォーキングツアーで参与観察を行い、国内外の大学・自治体や観光当局等と意見交換して、対話的交流の分析を深めています。そして、国内外で開催される学会や論文、また自治体や観光関係に携わる方のセミナーなどで発信をしてきています。これらの研究活動を通じて、「旅」を楽しむ人々、様々な地域で生活する人に接しながら、どのような街づくりを目指したらよいか、考えています。

高校生へのメッセージ

街を歩いてみて、自分の目でみて感じてください。京都は、絶えず文化を生成創造し、国内外の人々を惹きつけてやまない都市です。京都の魅力とその源泉は何か、京都の歴史や伝統文化、人の流れや地域の活動に接し、感じ取ってみてください。そのなかで、一期一会の出会いを大切にしてください。
そして機会をとらえて、何か思うことにチャレンジしてみてください。変化が大きい時勢だからこそ、世の中はどう動いているのか、ダイナミックな地域の動き、先人や歴史に学びながら、一緒に考えていきましょう!