研究テーマ
日本民俗学
高校生に向けた研究内容の紹介
民俗学は、これまで農山漁村を対象にし、都市の民俗を考えることには積極的ではありませんでした。都市独自の、あるいは都市的な民俗文化とは何か、そしてそれが日本の民俗文化を考える上でどのように位置付けられるのかを問うていくことが私のテーマです。いささか大きすぎるテーマなのですが、実際には主として京都をフィールドとして、町家の住まい方や土地利用、祇園祭等の都市祭礼、また最近はパブリック・フォークロアの視点から文化財や文化遺産をめぐる問題にアプローチしています。
ゼミナール/研究室のテーマ
(京都の)「日常」「あたり前」を学問する
庶民生活文化を京都で考える
京都の都心部や近郊農山村を訪ね歩いて「庶民の日常」から京都文化について考えます。学びの軸になるのは民俗学です。ただし、私たちが取り組む「庶民の日常」には明確な資料が多くありません。箸の持ち方や昔の人の歩き方などは、日記などに記されないものです。ですからこのゼミでは、古写真や映像記録、民具や景観など目の前にあるものを読み解くのです。 例えば庶民の願いが込められていたであろう神社の絵馬からどんなメッセージを取り出すか。食文化や家族関係、建物など、学生の興味関心によって見えるものが違ってくるのが面白い。このゼミでは民俗調査を通して、地域や自己を見つめる眼力を養うことを目指します。
ゼミ/卒業研究の紹介
「民俗学の手法を通して京都や日本の庶民文化を解析する」をテーマにしています。民俗学はフィールドに出ることが前提になります。ここ数年間は瀬戸内海に浮かぶ小豆島の一村落でフィールドをゼミ生と行って、今報告書をまとめてはじめているところです。その他にも祇園祭や京野菜の調査なども学生とともに行っています。民俗学は高邁な理論を振りかざしません。何気ない人々の暮らしや社会の中に埋め込まれた真実や実態を発見していく、人にやさしい学問です。
プロフィール
1960年京都府生まれ。同志社大学文学部文化学科卒、佛教大学文学研究科博士後期満期退学。JTたばこと塩の博物館在外研究員としてグァテマラ・マヤの民俗調査を経、帰国後、長く京都市の文化財保護行政の現場で、民俗文化財担当として働く。もともと小説家志望。自主映画の脚本などを書くものの、大学時代にたまたま入った民俗学研究会で、民俗学の魅力に目覚める。旅をして、異郷の暮らしに触れ、その背景にある歴史や意味を考えることが、すごくロマンチックに感じています。
高校生へのメッセージ
自分らしく生きること、そしてそれが無理なく身近な人たち、ひいては人々の「幸せ」に結びついていく、そうした生き方を探し、そして学ぶことが大事なことだと思います。大学生活のなかで、是非そうしたことができる自分を見つけて欲しいと思います。それと、あたりまえのことですが、やはり体が大事です。君たちの未来は君たちの手中にありです。考えましょう、動きましょう!!