
研究テーマ
安全第一の国際比較経営史
高校生に向けた研究内容の紹介
「安全第一」という標語の作者は誰か?これは安全運動の草創期から繰り返し提出されてきた古典的な問いのひとつです。私は長年安全運動の歴史研究にたずさわってきましたが、この質問に答えることの容易でないことに、いまさらながら気づいた次第です。そのようなわけで、わが国とアメリカに存在する「安全第一」の起源物語や安全運動の創成物語を丹念に拾いあつめ、主要な物語形式をひとつ残らず検討してみることにしました。事実上、アメリカと日本の安全運動史を辿り直すことになり、最終的に、両国の相互作用を織り込んだトランスナショナルなストーリーを描くことになりました。
ゼミナール/研究室のテーマ
歴史を振り返り、現在の立ち位置を知り、それを将来展望に活かす
社会科学上のあらゆる知識は、過去を冷静に振り返ることによってつくられ、理論的知識は「経験の蒸留」ともいわれています。歴史に学ぶことによって、物事を考える方法を身に付けます。このような「方法」は、人生のいろいろな側面に応用できるはずです。
ゼミ/卒業研究の紹介
知識そのものよりも、知識を獲得するための方法を学びます。書物を読んで独学ができ、自分の文章が書けるようになることを目指します。大学生活を有意義に過ごす術を一緒に考えてゆきます。
私は、大学1年生の頃、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』という本を読みました。いまでも印象深く思いだす一節があります。学校というところは、「知識は教えるけれど、知識の獲得の仕方は、あまり教えてくれない」と。この書物に刺激を受けて、知識の獲得の仕方(方法)を自分なりに工夫して、私はそれを学問研究に応用してきました。
学生ひとりひとりがこのような自分なりの方法を身につけてほしいと考えています。このような方法は、学問だけでなく、日常生活のあらゆる部面に応用できるはずです。
プロフィール
自転車がだい好きです。わがアトリエには、イタリア、イギリス、フランスのクラシック自転車があります。たんなる飾り物ではありません。古典的な自転車を駆って小さな旅に出ます。今から10年くらい前、ひょんなことから1976年製のMarastoniがわが家にやってきました。イタリアの自転車部品メーカー、カンパニョーロの変速機が使われています。乗るのが恥ずかしくなるような鮮やかなフレーム・カラーです。
長期のツーリングに出かけたいのは山々ですが、多事多端にて、思うように行きません。キャンピング用自転車でおおきな大きな旅をしてみたいです。
高校生へのメッセージ
私はある医療協力NGOのカメラマンとしてバングラデシュと内戦下のカンボジアを訪ねたことがあります。繊維産業の低賃金労働に従事する女工さんたち、スラム街の子供たち、牛の枝肉を天井から吊して切り売りするマーケットの商人、いろいろな人たちと出会いました。日本にいたのではおそらくできなかったであろう貴重な経験をすることができました。外国を知ることによって、日本をより深く知ることができますね。みなさんも、たくさん本を読んで、大きな旅をしてほしいです。