共通教育科目「京都産業大学と京都を知る」では、ゲストスピーカーとして、賀茂別雷神社(上賀茂神社)の髙井 俊光 宮司をお迎えし、世界文化遺産 賀茂別雷神社(上賀茂神社)の歴史や葵祭、日本文化に込められた自然への感謝の心についてお話しいただきました。
(学生ライター 法学部 2年次 山岡 由茉)
上賀茂神社の正式名称は賀茂別雷神社
はじめに、上賀茂神社の正式名称は「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」であることが紹介されました。
賀茂別雷神社の起源は京都でも最も古いものの一つで、約2,600年前にまでさかのぼるとされています。髙井宮司は205代目の宮司であり、初代からの系譜が続いていることは大変珍しいそうです。「雷」という字には、田に雨を降らせる自然の恵みが表されており、賀茂別雷神社は雷の御神威により厄を払い、あらゆる難を除き給う厄除けの守護神として信仰されている神社であると説明されました。
上賀茂神社と京都産業大学のつながり
京都産業大学は上賀茂神社に隣接しており、地理的にも密接な関係にあります。
上賀茂神社と京都産業大学のつながりを象徴するものの一つに、「神馬(しんめ)」の存在があります。神馬とは神様に仕える馬のことであり、上賀茂神社では日曜日や祝日、祭事の際に、参拝者の前に白い神馬が姿を現します。参拝者にとって神馬は神聖な存在ですが、その神馬は普段、京都産業大学体育会馬術部の学生たちによって大切に飼育されています。馬術部の学生たちは、日々の活動の中で神馬の世話を行い、祭事や参拝日に神馬が神社でその役割を果たせるよう支えています。また、馬術部の学生たちの間では、神馬は「しんちゃん」という愛称で呼ばれているそうです。神様に仕える神聖な存在でありながら、日々関わる学生たちにとっては、親しみを感じる身近な存在でもあることがうかがえます。
葵祭とは
「葵祭」についても詳しく説明されました。正式名称は「賀茂祭」であり、約1,500年前、自然災害や洪水を背景に、国家安泰と五穀豊穣を祈願するために始まったとされています。平安時代には、「祭」といえば葵祭を指すほど重要な行事であったそうです。「祇園祭」は疫病退散を願う民間の祭りで「華やか」であるのに対し、「葵祭」は「天皇陛下の国民の安寧を願う思いを神前に届けるもの」であり、神職がその思いを受け取り本殿へお納めする役割を担っていると説明されました。
日本文化と自然観
講演の後半では、日本文化と自然観についてのお話がありました。日本には四季があり、季節の移り変わりが人々の生活を支えています。神社は自然の恵みに感謝を捧げる場であり、その感謝を表す行為が祭りであるという言葉が印象に残りました。
「その日の風を大事にしてください」という言葉からは、一瞬の自然の変化を大切にする日本人の感性が感じられました。また、質疑応答では、仕事への向き合い方についても語られました。髙井宮司は、当初は神社の仕事に前向きではなかったものの、日々の努力を重ねる中でその大切さに気付き、仕事にやりがいを見出されたそうです。
今回の講演では、上賀茂神社の長い歴史や葵祭の意味を学ぶとともに、日本文化に根付く自然への感謝の心について理解を深めることができました。髙井宮司のお話は知識の提供にとどまらず、私たちに文化を感じ取る大切さを伝えるものでした。また、どのような仕事も社会や人々の役に立っているという実感が、生きる喜びにつながることを学ぶことができた貴重な機会となりました。