2026.08.05

大手総合商社 𠮷成 雄一郎氏が多彩な経験からビジネスとキャリアの本質を語る!

経営学部の講義「経営戦略論(全社戦略)」(担当:柴野 良美 准教授)では、経営戦略論の中でも全社戦略(企業全体としてとるべき戦略)について、企業がどのような経営戦略に基づいて活動しているのかを理論と実務の両面から学びます。今回は、大手総合商社の𠮷成 雄一郎氏をゲストに迎えた講義の様子をお届けします。

講義の前半は、𠮷成氏のキャリアから、起業や投資に関する講演、後半は、学生たちとの質疑応答が行われました。

起業や投資に関する講義を行う𠮷成 雄一郎氏

総合商社におけるキャリア

𠮷成氏は大学院を修了後、大手総合商社に入社し、宇宙航空機部においてキャリアをスタートしました。その後、社内ベンチャーを成功させ、海外の金属鉱山やシリコンバレーでのビジネス経験を積まれました。

総合商社は、初期の頃は輸出入を中心としたビジネスを行っていましたが、現在では、グローバルな経済環境においてビジネスの範囲を拡大するとともに、インフラやテクノロジー分野への投資を行うなど、進化を続けています。

そのようなビジネスの進化の中で、𠮷成氏は自ら事業計画を作り、社内ベンチャーの子会社として位置情報サービスの会社を起業し、経営しました。起業当時は、位置情報サービスは潜在力が高いビジネスでしたが、まだGPSの民間利用が始まったばかりで、情報サービスを支えるインフラとしては未成熟な時代でした。そのような状況において、𠮷成氏は顧客に支持されるサービスを提供し、ビジネスを成功させます。その後、異動によりその会社を離れることとなりましたが、ご自身が育てたサービスが20年を経て現在も残っていることを誇らしくお話されていたことが印象的でした。

そして、𠮷成氏は、オーストラリアとチリにおける金属資源ビジネスを経て、アメリカのシリコンバレーに駐在します。シリコンバレーは新しいビジネスを創出するスタートアップ・エコシステム(産業生態系)が構築されており、スタートアップ企業への投資家としての経験を積まれました。

ビジネスとキャリアの本質とは

𠮷成氏は、起業家として、投資家として、事業会社の一員として、様々な立場から起業に携わってきました。社内ベンチャーにおける起業家としての経験から、アイデアが良ければ事業として成功するものではなく、顧客価値があることや市場導入のタイミングなどの様々な要素が必要となることを強調されました。シリコンバレーでの投資家としての経験から、投資家は技術だけを見ているのではなく、「人(チーム)」などの見えにくいものを含めて投資を判断していることや、良いスタートアップに共通する特徴とは何かを説明されました。

起業は、会社を作ることだけではなく、どのような立場でも「起業家精神」に基づき行動することが大切であるとお話しされました。そして、𠮷成氏は講演の最後に、「あなたはどんな課題を見つけ、どんな価値を社会に提供したいのか」という問いを学生たちに投げかけました。

後半の質疑応答では、学生たちから、就職活動に対する姿勢やAI時代に求められるスキルなどについて多くの質問が寄せられ、講義時間の終わりまで次々と手が挙がりました。一つ一つの質問に対する𠮷成氏の真摯な回答に、学生たちが熱心に聴き入る様子が見られました。

講義の終了後は、𠮷成氏のところに直接質問に行く学生たちの姿が見られました。𠮷成氏の講演と質疑応答を通じて、学生たちが課題を持ち行動することの大切さについて考えるきっかけとなる講義でした。

講義の様子

講師紹介

𠮷成 雄一郎 氏 
大手総合商社 AIソリューションタスクフォースAI CoEセンター長
1996年大手総合商社入社後、社内ベンチャーを設立。その後シリコンバレー支店に赴任し、DXやスタートアップ投資を主導する。デザイン思考のコーチングの実績を持ち、大学・大学院でイノベーションやアントレプレナーシップの講義なども行う。
著書『総合商社のビジネスモデル: 学習する組織とビジネスモデル変革の実証研究』