文化学部京都文化学科の専門教育科目「京都文化基礎演習A」(担当:吉野 秋二 教授、受講生12人)では、蹴上駅を起点に、旧発電所、南禅寺、水路閣、インクラインを巡るフィールドワークを行いました。目的は、現在も京都の重要な資源である琵琶湖疏水の歴史と、南禅寺の建築・仏像がもつ歴史的背景を学ぶことです。 

南禅寺では、勅使門、法堂、方丈を見学しました。御所から拝領した勅使門には菊花紋章や精緻な動物彫刻が施され、法堂の軒丸瓦には「南禅」の文字が刻まれています。国宝の方丈は、御所から移築された大方丈を中心に構成され、桃山時代の建築的特徴を伝えています。 

法堂には本尊の釈迦三尊像が安置され、禅宗信仰の中心となっています。方丈には狩野派の障壁画が数多く残され、代表的な虎図をはじめ、中国文化の影響を受けた作品が見られます。これらは、禅宗の思想と歴史を現代に伝える貴重な文化財です。 

続いて、南禅寺の塔頭・金地院を見学しました。境内には、明智光秀が建立した明智門、京都では珍しい権現造の東照宮、室町時代の建築的特徴を残す方丈などがあります。とりわけ「鶴亀の庭」は細部まで入念に作庭され、古代中国に由来する思想が巧みに表現されていました。 

最後に訪れた水路閣は、明治時代に煉瓦で造られた建造物です。建設当初は、南禅寺周辺の和の景観になじまないとして批判されましたが、現在では、年月を経た煉瓦の風合いが周囲と調和しています。南禅寺の建築と歴史を学びながら、水路閣とインクラインを経て蹴上駅に戻り、フィールドワークを終えました。 

以下、参加学生の感想を紹介します。

  • 金地院では、細部に施された意匠や素材の質感を間近で観察でき、当時の建築技術や美意識を強く感じることができました。 
  • 南禅寺は、臨済宗の寺院の中でも別格とされるほど格式の高い寺院であり、実際に訪れて改めてその荘厳さを感じました。 
  • 南禅寺の方丈は、木肌の質感や意匠の美しさが際立っており、その高い歴史的価値を再確認する機会となりました。 

蹴上発電所

インクライン

南禅寺三門