6月28日、文化学部 田中 直子 准教授が担当する演習科目において、1年次生のフィールドワークで、冷泉家を訪問しました。
冷泉家は、歌人の藤原俊成(しゅんぜい)、定家(ていか)親子の流れをくみ、約800年続く和歌の家です。
冷泉家住宅は、京都御苑の北、今出川通りに南面して屋敷を構える、現存最古の公家屋敷(国重要文化財)です。冷泉家は、慶長11年以降、その地において和歌の家としての格を保ち、節会を続け、伝統文化の継承と普及に貢献されてきました。
住宅は内玄関および式台を設けた大玄関が構えられ、書院は上・中・下の間からなり、庭には白河砂が敷かれて、和歌に詠まれる植物が植えこまれていました。
草創期から保存管理してきた御文庫・御新文庫をはじめとする伝統的な土蔵をはじめ、住宅の襖の優美な唐紙の意味、そして祭礼用の御供のための飾り竈を備えるなど、伝統の継承が、今まさに営まれている世界を、体感し、学習しました。
次期後継者の冷泉 渚氏より特別講義を受け、学生たちは、その世界に吸い込まれているようでした。
当日は、端午の節会の飾りが、書院の上の間にされており、その前で、冷泉氏と記念写真を撮りました。「皆様の記憶に残れば」という言葉の重みに、今後、刻をどう紡ぐのか、学生達の課題となったことでしょう。

冷泉氏の説明を真剣に聞く様子

記念撮影
以下、学生の感想の抜粋です。
- 「伝統とは固定化された過去の再現ではなく、時代に合わせて変化を受け入れ、更新し続けることで初めて持続可能になるという視点」への共感。
- 強い意志を持って守り抜いてきた「強さ」が、敷地全体から伝わってきた。
- 何世代にもわたって受け継がれてきた「守り、残す気持ち」そのものこそが、ここにある一番の文化なのだと、当主の言葉を思い出しながら感じた。冷泉家の歴史は、過去を残す場所ではなく、未来へ続く「文化の今」そのものなのだと思う。
- 襖の唐紙が模様のみであることについて、和歌で情景を詠む際、襖の絵と歌の世界観がぶつかるのを防ぐためであり、想像力を広げるための「引き算の美学」と言える。
- 冷泉家の見学を通じて、伝統の継承とは過去への傾倒ではなく、現代の生活の中で文化をいかに生かし続けるかという創造的行為であると理解した。