本学の理工系3学部が協同して設置しているグローバル・サイエンス・コース(GSC)では、在学生の視野を広げ、将来の進路や研究への挑戦を後押しすることを目的として、毎月「Monthly GSC」を開催しています。
今回のセミナーでは、本学理学部研究員の井上拓也氏を講師にお迎えし、「私立大学工学系出身の私が宇宙論研究者になるまで」と題した講演を開催しました。
■第4回 Monthly GSC
• 日時:2026年7月8日(水)16:45~18:15
• 会場:天地館 T204教室
• 講師:井上 拓也氏(本学理学部研究員)

機械工学から宇宙論へ。挑戦の先に見えた研究者への道
井上氏は、同志社大学で機械工学を学んだ後、フランスでのダブルディグリー留学やドイツでの研究インターンシップを経験し、国立台湾大学大学院で物理学の博士号を取得されました。
様々な国でグローバルに活躍された後、現在は本学の理学部で観測的宇宙論の研究に取り組まれています。当日は、ご自身の経験をもとに、海外留学や大学院進学、研究者への道のりについて、具体的なエピソードを交えてお話しいただきました。

宇宙への憧れがキャリアの原点に
講演ではまず、幼少期から抱いていた宇宙への憧れと、その思いが現在の研究につながるまでの歩みが紹介されました。井上氏は、中学生の頃にスティーブン・ホーキング氏の著書に出会ったことをきっかけに宇宙物理学者に憧れを抱くようになった一方、高校時代には宇宙工学に興味を持ち、大学では機械工学を専攻されました。
現在は宇宙論研究者となられた井上氏ですが、その出発点は物理学ではなく機械工学でした。「宇宙が好き」という思いを持ち続けたことが、その後の進路選択の軸になったと振り返られました。
フランス、ドイツでの挑戦が新たな可能性を広げる
井上氏のキャリアを大きく展開させたのが海外での経験です。フランスのEcole Centrale de Lilleへのダブルディグリー留学では、フランス語で授業を受講しながら、多国籍の学生との学びや企業との共同プロジェクト、長期インターンシップを経験されました。また、留学生活を支えた「トビタテ!留学JAPAN」についても紹介があり、海外留学に挑戦するための支援制度の重要性についても語られました。
さらに修士課程では、ドイツのマックス・プランク宇宙物理学研究所で研究インターンシップを経験。研究所長へ自ら連絡を取り機会を得たエピソードや、その後の博士課程進学につながる研究者との出会いが紹介され、「まず一歩を踏み出すことの大切さ」が参加者に伝えられました。

機械工学から宇宙論へ。挑戦の先に見えた研究者への道
講演後半では、国立台湾大学大学院への進学と、機械工学から宇宙論への分野転換について語られました。物理学を基礎から学び直す日々は決して容易ではなく、多くの苦労や不安もあったそうです。しかし、自らの興味を追究し続けたことが博士号取得につながり、現在は宇宙論研究者として活躍されています。
また、現在取り組まれている観測的宇宙論の研究についても紹介があり、宇宙の大規模構造の観測を通して宇宙の加速膨張や重力理論の謎に迫る研究内容が分かりやすく解説されました。工学系から理学分野へと専門を越えて挑戦した井上氏の歩みは、「現時点で進路が定まっていなくても、興味や挑戦の積み重ねによって将来の可能性は大きく広がる」というメッセージとして、参加者の印象に強く残りました。
講演後の質疑応答
質疑応答では、留学準備や語学学習、博士課程進学を決めた理由などについて質問が寄せられ、井上氏は自身の経験を交えながら丁寧に回答されました。
工学系から宇宙論研究者へと進み、フランス、ドイツ、台湾で学びを重ねてきた井上氏の経験は、参加者にとって、自らの興味や挑戦が将来の可能性を広げることを実感する機会となりました。また、海外留学や大学院進学をより身近な選択肢として捉え、自らの将来について考える貴重な時間となりました。
GSCでは今後も、学生の挑戦意欲を高め、新たな視野を広げる機会となるイベントを積極的に開催していく予定です。