理学部宇宙物理・気象学科では7月8日に学部生・大学院生・教員を対象とした談話会を開催しました。
今回の講師は、2026年4月より神山宇宙科学研究所の所長に就任された渡部潤一特別客員教授です。渡部先生は国立天文台で長年にわたり太陽系小天体研究をけん引してこられた第一人者です。
ピザパーティー
談話会に先立ち、学部1年次生の歓迎を兼ねたピザパーティーも開催しました。教員や上級生、大学院生も加わり、学年や立場の垣根を越えた交流の場となりました。昼休みの時間を利用して行われたこのイベントには、Lサイズのピザ264ピースが一瞬でなくなるほど大勢の学生が参加しました。和気あいあいとした雰囲気の中で、さまざまな話題が飛び交い、大いに盛り上がりました。

1年次生にとって、大学で初めての単位がかかった定期試験が始まる時期です。そんな中で、先輩や教員、そして気象研究の最前線で活躍する卒業生と直接言葉を交わせたことは、今後の進路や将来像、単位の取り方を考える良いきっかけになったことでしょう。
これからも、定員40名という少人数制の本学科ならではのアットホームな雰囲気を活かし、有用な助言を得られる先輩とのつながりを大切に育んでいってほしいと思います。
講演会「研究はドラマだ! –彗星、流星の謎を追って–」
この春、本学神山宇宙科学研究所に着任した天文学者・渡部潤一先生を講師に迎え、特別講演会「研究はドラマだ!-彗星、流星の謎を追って-」を開催しました。会場には学生、教職員など多くの参加者が集まり、数十年にわたる研究人生を通じて体験した数々の発見と挑戦について、熱意あふれるお話が披露されました。
講演の冒頭で渡部先生は、ご自身が天文学の世界に惹きつけられた原点として、1972年10月に起こった「ジャコビニ流星雨騒動」を紹介されました。当時、大規模な流星雨の出現が予想されていましたが、期待された現象は現れず、多くの人々が肩透かしを受けました。しかし先生は、その「予想が外れた」出来事にこそ強い興味を抱いたといいます。「なぜ予想と違ったのか。その理由を知りたい」という探究心が、その後の研究人生の出発点となりました。
以来、渡部先生は流星と、その親天体である彗星の研究に取り組み続けてきました。その歩みの中では、人類が初めて目撃した流星の「クラスター現象」の発見と命名をはじめ、長年にわたり正体が分からなかった「幻の流星群」の親天体を特定するなど、世界的にも注目される研究成果を挙げてきました。また、太陽に接近して明るくなる彗星の観測や、その挙動の解明にも挑戦し続けています。

一方で、天文学は決して予想どおりに進む学問ではありません。彗星や流星の出現予測が外れることも少なくなく、渡部先生は着任時に朝日新聞で「予想を外しすぎる天文学者」というユニークな見出しで紹介されました。講演では、その見出しに込められた誤解についても触れながら、「予想が外れるということは、それだけ未知のことが多いという証拠でもある」と語られました。
研究者は、分かっていることを確認するだけではなく、分からないことに挑戦する存在です。だからこそ予想が覆され、新しい発見が生まれます。講演では、数十年にわたる観測データや世界中の研究者との共同研究のエピソードを交えながら、研究の最前線で展開されるドラマが生き生きと紹介されました。参加者は、天文学の知識だけでなく、研究そのものの魅力や醍醐味に触れる貴重な機会となりました。
また、渡部先生は研究活動とともに、天文学の魅力を広く社会へ伝える普及啓発活動にも力を注いでこられました。「宇宙は誰にとっても開かれた学びの場です」という言葉には、次世代を担う若者たちへの期待が込められていました。
講演の最後には、「研究は決して一直線ではなく、予想外の出来事の連続である。しかし、その先に新しい発見が待っている」とのメッセージが送られました。宇宙の謎に挑み続けてきた渡部先生の姿は、多くの参加者にとって、学び続けることの楽しさと大切さを改めて実感する機会となったことでしょう。
神山宇宙科学研究所では今後も、最先端の研究成果に触れられる講演会や研究交流の機会を積極的に提供し、本学から宇宙科学の新たな発展と社会への発信を進めていきます。宇宙への尽きない好奇心と探究心を育む場として、今後の活動にもぜひご期待ください。
理学部では、学内教員や研究実績のある研究者、繋がりのある実務分野で活躍する人物を招聘し、定期的に談話会(講演会)を行っています。これにより、理学の最先端の研究内容に触れ、社会とのつながりや広がりを知る機会を提供しています。この談話会は、学生の学習意欲の向上、教員の研究意欲や質の向上にも寄与しています。参加対象は学生、教員、だけではなく、一般の方々も含まれます。