拘禁刑が施行されておよそ1年となる6月9日、法学部専門教育科目『2年次演習A』『3年次演習A』(担当:中村 邦義 教授)の受講生が京都刑務所を参観しました。
今年5月末に開催された日本刑法学会の大会でも「拘禁刑の運用」等がホットな話題になっていました。これまでは罪を償わせるという観点から強制的な義務としての刑務作業であった懲役刑でしたが、再犯防止の観点からなぜ刑務作業を科す意味があるのかを考えて受刑者の改善更生のために行われる拘禁刑にかわりました。想像することは難しいかもしれませんが、誰もが被害者になりうるだけでなく加害者にもなりえます。社会が受刑者を受け入れず排除してしまうと、その人は社会の中で生きることが難しくなり、犯罪をくり返すしかなくなります。それは社会にとっても不幸なことです。
京都刑務所所長の講義では、「再犯防止の観点から、出所後に就職できてもすぐに離職してしまっては意味がない。法務省からはコミュニケーション能力の向上にも力を入れるように指示が出ており、刑務官が受刑者との対話も取り入れている」ことなどが説明されました。おそらくそのこととも関係していると思いますが、これまで中村ゼミとして十数年参観をしてきている中で、初めて受刑者の方から参観者に対するプレゼンの機会がありました。受刑者の方は、「私たちは自分勝手な考えで罪を犯してしまいましたが、今は自分たちが作った製品を使ってくれる相手のこと(社会の人々のこと)まで考えて作るようになりました」と話されていました。
参加したゼミ生の中には「あんなにきちんと説明できる普通の人が受刑者になるとは思えなかった」という感想なども見られました。またゼミ生らは、独居房や保護室など普段入ることができないところにも入らせていただき、そこで気づいたことや感じたことなどを所長や刑務官の方々に質問していました。多くのことを学ぶことができた有意義な参観になったようです。

2年次生 小室 心咲さんのコメント
刑務所に到着してはじめに驚いたのは、思ったよりも住宅街に溶け込んでいたことです。想像していた刑務所は、コンクリート造りの無機質なものでしたが、実際には小学校のような温かみのある雰囲気の場所だったので意外に感じました。
特に印象的だったのは、受刑者の人権がしっかりと保護されていることです。刑務作業では、誰がどの仕事をしているのか帽子で見分けられるようになっており、安全が徹底されていました。運動をする時間が確保され、栄養を考えた食事が用意され、また図書館で本を借りることもでき、余暇の時間もあります。塀の中で暮らしていること以外は普通の人と大きく変わらない生活を営んでいるように見えました。むしろ、世間一般の人よりも健康的な生活を送っているようにも感じました。刑務作業の給料が殆ど出ないとはいえ、これが罰になっているのか疑問に思ったほどです。
しかし、現在の刑務所は「懲罰」よりも「更生」に重きを置いていることを考えると納得できます。社会復帰に向けた訓練の場所として機能しているのだと思います。フィクション等で多く描かれる荒れた姿と大きく異なり、秩序が保たれた場所だと感じました。実際に見てみないと分からない世界を知ることができ、有意義な経験になりました。