国際関係学部専門教育科目「国際ビジネス論Ⅰ」(担当教員:植原 行洋 教授)の授業にて駐日欧州連合(EU)代表部トーマス ニョッキ公使をお招きし、「世界におけるEU EU―日本の経済・ビジネス関係」をテーマに講演いただきました。EUの基本的な成り立ちや価値観、また国際社会における役割や日本との経済関係について解説されました。
(学生ライター 法学部2年次 山岡 由茉)
講義の冒頭では、EU(European Union)の概要について説明がありました。EUは27カ国で構成される経済・政治共同体です。第二次世界大戦後の反省を踏まえ、長期的な平和と繁栄の実現を目的として加盟国の拡大や制度改革の動きが進み、機能強化が図られてきました。現在では国際社会において大きな役割を担っています。
EUは「人間の尊厳」「自由」「民主主義」「平等」「法の支配」「人権」といった普遍の価値観を大切にしています。日本を始め世界各地に代表部を設置し、各国政府や国際機関との連携を進めています。ウクライナ支援として、復興や難民の受け入れ、ロシアへの制裁などを継続的に行っています。
講演後半では、日本とEUの経済協力関係について説明がありました。近年は国際情勢の変化や経済安全保障への関心の高まりを背景に、両者の協力は一層重要になっています。日本とEUは民主主義や法の支配といった共通の価値観を共有しており、G7や国連などの国際的な場でも連携しています。具体的な協力分野としては、デジタル技術、安全保障、環境・気候変動、研究開発、教育などが挙げられました。
さらに、2019年に発効した「日EU経済連携協定(EPA)」により、関税や貿易上の障壁が軽減され、経済交流が活発化しています。講演では、EUから日本への農産物輸出が2018年から2024年の間に26%増加したことも紹介され、その経済効果が示されました。
加えて、EUにとって日本はアジアで重要な貿易相手国の1つであり、また、投資面でも強い結び付きがあります。EUと日本の企業や研究機関の協力を支援する「EU-Japan Centre for Industrial Cooperation(日欧産業協力センター)」の存在や、中小企業の海外展開を後押しする取り組みについても説明がありました。
講演後の質疑応答では、日本とEU間の問題点・考え方の相違点や、日本の今後の外交政策について学生から質問が寄せられ、ニョッキ公使から真摯な回答がなされました。さらに、日本の開発途上国(アフリカ諸国など)への支援や国際社会における影響力の在り方についても議論が行われ、活発な意見交換の場となりました。

今回の講演を通じて、EUが単なる経済・政治共同体ではなく、世界共通の価値観を基盤として国際社会で大きな役割を果たしていることを学びました。また、日本とEUの経済関係が貿易にとどまらず、安全保障や環境、教育といった幅広い分野に広がっている点も印象的でした。質疑応答では多様な視点に触れることができ、日本の国際社会な立場について考える貴重な機会となりました。