2026年5月16日(土)に文化学部 マレス エマニュエル 准教授の「京都文化基礎演習A(2年次)」は京都市考古資料館を訪れました。当日の様子について、ゼミ生からのレポートをお届けします!

京都市考古資料館で特別展示を見学
京都市考古資料館は、1979年に京都の埋蔵文化財を公開・展示することを目的として開設された施設であり、誰でも無料で気楽に見学できます。2階の常設展示では発掘調査で出土した旧石器時代~江戸時代に至る約1,000点の考古資料が展示されています。今回は2月14日から6月21日まで開催されている特別展示「みやこの庭園―発掘と整備から知るすがた―」を見学しました。
マレス准教授担当の「京都文化基礎演習A」では、京都を庭園都市として捉えなおして、自然と文化、歴史と地域などについて考察を深めていきます。学生は自分の興味のあるテーマを選んで、一年をかけて「京都の庭園案内パンフレット」を作成します。これまでは座学で先輩たちがつくったパンフレットなどを分析しながら、編集作業とデザイン作業の基本を学び、また、京都を庭園都市に例えている3つのテキストを読み比べて「京都は拡張された庭」のようであり「庭は縮減された京都」のようであるという考え方を学んできました(※1)。
今回の特別展示はちょうど「みやこの庭園」に焦点を当て、発掘調査によって明らかになった古代から近代に至るまでの日本庭園の歴史が紹介されているということで、皆で訪れることにしました。当日、案内をしてくださったのは、文化学部京都文化学科の山本 雅和 教授です。山本教授は同資料館の館長であり、大学では考古学や学芸員課程の授業などを担当しています。

展示物の解説を受ける様子
山本教授は、各時代の庭園の特徴を紹介してから、展示物の解説をされました。発掘中のエピソードも交えながら説明があったので、遠い昔のことでも身近に感じることができ、とても理解しやすかったです。
例えば、山本教授が洲浜の調査をされた時の話に驚きました。たまたま引っかかった石の裏に文字が書かれており、調べたところ、それが法華経の一説であったのだそうです。そこから周囲にある何千もの石を二日間かけてひっくり返してみたが、たまたま引っかかった二つの石だけに文字が書かれていたという奇跡的な発見のエピソードは、とても印象的でした。
また、葵祭で有名な斎王が住んでいた斎宮邸跡からは、地下水が湧いていたとされる場所から、髪を下ろした女性の顔が描かれた人形代(ひとかたしろ)(木製の祭祀遺物)が発掘されています。これは引っ越しの際に儀式的に埋められたものなのではないかと説明がありました。当時の女性のヘアースタイルを考えるための貴重な参考資料でもあるということで、こうした出土品から庭園にとどまらず、さまざまな歴史が紐解ける興味深い事例でした。
山本教授の解説を聞いて、忘れられていた歴史が発掘調査によって明らかになるということに感動しました。そして、発掘調査の成果というミクロな視点によって、座学で得たマクロな都市論がより具体的に、より現実的に実感することができました。
これから、マレスゼミの学生は「京都の庭園パンフレット」を作成することになりますが、資料館の見学を通して、庭園の位置や見どころをただ紹介するだけでなく、庭園が成立した時代や土地の特徴、水系や地形の成り立ちなどの説明を加えることで、より魅力的な内容になることを学びました。展示のパネルを見て、解説の文字と図解のバランス、レイアウトの大切さについても考える良い機会になりました。
また、今回の展示のチラシも大変参考になりました。表面はあえて写真ではなく、抽象的なデザインになっています。上の緑色のグラデーションはみやこを囲む山と森、また庭を囲む築山と植栽、下の青色やグレー色のグラデーションはみやこの川や白砂、また庭の流れや洲浜を連想させ、京都盆地と京都の庭の特徴がよく伝わってきます。日本庭園特有な曲線、簡略化された洲浜をイメージした文字のフォントもまたとても効果的です。
今回学んだ日本庭園の歴史の知識もそうですが、展示方法やデザインの工夫なども生かして、自分たちだけの「京都の庭園パンフレット」を作成していきます。
(京都文化学科マレスゼミ2年次生一同)
(※1)
山内朋樹「庭園都市京都を構想する」『AMeet』2026年。
https://www.ameet.jp/feature/6091/
広井良典「庭園都市京都」伝統文化の森2020年。
https://kyoto-dentoubunkanomori.jp/column/1328/
白幡洋三郎「盆地京都を庭園都市と見立てる」2003年。
https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no14/03.html
