経済学部「日本経済史A」(担当教員:井奥 成彦 非常勤講師)では、上方講談師・玉田玉秀斎(たまだ ぎょくしゅうさい)氏を招き、特別講義を開講しました。今回披露されたのは「おぼろの便り」という物語です。江戸時代の経済を学ぶ授業内容と関連付けられたその内容に、学生たちは大きな関心を寄せていました。
(学生ライター 文化学部4年次 向井 優)

(張り扇を紹介する玉田玉秀斎氏)
講談は、人生の“選択の瞬間”に焦点を当てる。
当代・玉田玉秀斎氏(以下、玉秀斎氏)は玉田家の名跡を継ぐ四代目であり、ラジオや舞台など多方面で活躍する上方講談の第一人者です。講義冒頭では、張り扇を打ちながら物語を語る講談の特徴が紹介されました。落語が「オチ」を伴う話芸であるのに対し、講談は笑いを目的とせず、物語の中にある「選択の瞬間」に焦点を当てる芸能だと語られました。また、出版大手「講談社」の起源が、明治時代に講談師の語りを速記して出版した「講談速記本」の流行にあることも紹介されました。
今回披露された「おぼろの便り」の登場人物はどのような人生の選択をするのか、玉秀斎氏の語り口に、自然と学生たちの意識が引き込まれていくような様子が感じられました。
講談「おぼろの便り」と西廻り航路
今回披露された「おぼろの便り」は、江戸時代の大阪天満を舞台に、昆布の名店「兼木屋」とその前に現れた「大倉屋」の老夫婦、そしてその婿の不思議な経歴を巡る物語です。親と子のつながりやおぼろ昆布を作る職人の矜持を軸に描きながらも、講義の内容である江戸時代の海運、西廻り航路を通じて人や産業品の物流(ここではおぼろ昆布)の物流の様子を垣間見ることができる構成となっていました。物語を通して描かれる具体的な情景に触れることで、学生にとっては授業で学ぶ内容以上に鮮明なイメージが広がったのではないでしょうか。
講談に触れた時間
冒頭で「日本全国に約1000人の落語家がいる一方、講談師はわずか100人ほどと希少な存在である」語られました。そうした中で、学生が普段の学びの中でこのような貴重な芸能に触れる機会を得られたことは、大変ありがたく、喜ばしいことだと感じました。歴史をただ学ぶだけではなく、物語や伝統に触れることで得られる感動とともに、今回の講義は強く印象に残る時間となりました。

(上方講談師 玉田玉秀斎氏)