世界に発信し、地域とともに歩むホテルのブランド価値とは何でしょうか。さらに魅力を高めるためには、どのような考え方や取組が期待されるのでしょうか。
文化学部 中野 宏幸 教授の「観光文化基礎演習A(2年次生)」は、5月24日、インバウンド旅行者が増加している東山に位置する「ザ・ホテル青龍 京都清水」を訪問し、ホテルのコンセプトやブランド戦略について学びました。本ゼミでは同ホテルと連携して継続的に演習を行い、取り巻く環境が変化する中での価値の創出とその発信のあり方について考えています。
全体写真
はじめに総支配人の室井 孝謙氏より、ホテルの歴史並びに「記憶を刻み、未来へつなぐ」というブランドコンセプト、そしてスーパーラグジュアリーホテルへのコンバージョンを図るポジショニング戦略について説明をいただきました。「ザ・ホテル青龍 京都清水」は、141年にわたって地元に親しまれ、2011年3月に閉校した元清水小学校を活用して、2020年に開業したホテルです(※)。コミュニティの核として培われてきた歴史やストーリーを大切にしており、中庭は一般の方にも開かれた交流の場としても活用されています。
総支配人の室井 孝謙氏の説明を熱心に聴く学生
卓越した品質を提供する国際ブランドである「The Leading Hotels of the World」の加盟ホテルとして、海外からの宿泊客にも広く利用されています。また、世界の一流ホテルを評価する「フォーブス・トラベルガイド2026」では、ホテル部門で5年連続となる「4つ星」を受賞するなど、高いサービス水準が評価されています。映画のロケ地としては、「日本のいちばん長い日」の撮影が行われるなど、多様な魅力も備えています。
セールス&マーケティング部レベニューマネジャーの大畑 作斗氏からは、観光を取り巻く国際情勢の変化や富裕層市場、競争環境の動向とあわせ、消費者の購買意思決定プロセスと、これに対応したマーケティング活動、さらに現場のさまざまなスタッフの連携によって支えられているホテル運営の仕組みについて説明をいただきました。
グループ討議を行う学生
その後、ミニワークショップとして、ホテルの価値向上に向けた企画をテーマにグループ討議を行いました。学生からは、京都ならではの食文化の提供や、清水寺の朝の静かな環境を楽しめる工夫、プロジェクションマッピングの活用、着付け体験や写真撮影による印象的な演出など、多様な意見が寄せられました。
また、ホテルでの仕事については、お客様一人一人に寄り添い、特別な時間や幸福感を提供することの大切さや、感謝の言葉をいただいた際のやりがい、さらに、AIでは代替できない接客の価値についてもお話をうかがい、活発な質疑応答が行われました。室井氏からは、国内外でのご経験やその時々に抱かれた思いについて丁寧にご紹介いただくとともに、大学での学びに関するアドバイスもいただき、学生にとってキャリア形成を考えるうえで大変有意義な機会となりました。
変化する交流・観光の動向への理解を深めるとともに、地域や企業の活動への関心を高め、地域とともに発展していく観光のあり方に対する考察を深めてほしいと思います。
(※)清水小学校の前身は1869年(明治2年)に、地元住民によって創設された学区制の番組小学校の1つです。現在の鉄筋コンクリート造の建物は、1933年(昭和8年)にこの地に移築建築されました。