四方を海に囲まれた日本において、海の治安や安全はどのような仕組みや活動によって支えられているのでしょうか。また、海とともに歩んできた舞鶴の歴史や生活文化は、地域とどのように関わりながら培われてきたのでしょうか。
文化学部 中野 宏幸 教授の「観光文化基礎演習A(2年次生)」「観光文化演習ⅠA(3年次生)」「観光文化演習ⅡA(4年次生)」は合同のフィールドワークとして、5月16日、京都府舞鶴市にある海上保安庁第八管区海上保安本部を訪問しました。本訪問は、キャリア形成の観点から、公務の最前線に接することにより、社会を支える仕組みや、組織における規律やチームワーク、使命感・責任感・リーダーシップについて理解を深めるとともに、舞鶴の街が果たしてきた歴史的役割や文化について多角的な視点を養うことを目的として、第八管区海上保安本部のご協力の下、実施したものです。
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第八管区海上保安本部は、広大な日本海の管轄海域において、海上の治安確保、海難救助、海上交通の安全、海洋環境の保全などの重要な任務を担っています。はじめに、人事課の岩本 翔太氏から、海上保安庁の任務や組織・業務、第八管区海上保安本部の使命と役割について説明がありました。
現地では、巡視船を見学するとともに、現場第一線の海上保安官を育成する海上保安学校を訪問し、船舶の操船や各種設備、航行船舶の動静把握、航空機の操縦の仕組みとあわせて、海上保安業務に必要な知識と技能の習得、訓練や活動がどのように行われているのかについて、説明をいただきました。日本海の地理的特性を踏まえた警備・救難体制や、近年の海域を取り巻く状況に関する説明を通じて、海の治安や安全が日々の現場で支えられていることを実感する機会となりました。
2班に分かれた班別行動の第1班
さらに、舞鶴市の特性や取組については、舞鶴市役所企画政策課主査の池田 健太氏より説明がありました。深く入り組んだ海岸線という地勢、城下町と海軍に由来する異なる文化が共存する重層的な地域性、観光資源としての活用、平和と世界とのつながりを大切にする取組、海上保安庁と連携したイベントなどが紹介されました。
学生からは、海上保安の仕事や活動について多くの質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われました。
2班に分かれた班別行動の第2班
学生からは、今回のフィールドワークに関し、次のような声が聞かれました。
海上保安庁の役割やイメージについて
- 実際に海上保安庁の方の仕事や学校を見学したことで、海の公務員の仕事がどれだけ大変で責任の重い仕事であるかがよくわかった。
- 海上保安庁には、とても厳格なイメージをもっていたが、実際には私たちの素朴な疑問に対してもユーモアを交えながら優しく笑顔で答えていただき、私の中にあったイメージが今日一日だけで大きく変わった。
- 管制業務を含め、さまざまな面で、私たちの生活や海を守るための仕事をされていることに感銘を受けるとともに、自分の将来を考えるうえでも視野が広がった。
海上保安庁の活動について
- 船内に入る際はとても緊張したが、多くの仕事があることを知り、驚いた。
- 人命を守るための厳しい訓練や判断、そしてチームワークが求められる仕事と感じた。普段あまり意識していなかった海の安全が、多くの人のおかげで守られていると学んだ。
- わずかな判断のミスや遅れが事故につながるという現場の緊張感を肌で感じることができた。就職活動を考えるうえで、さまざまな現場を知ることの大切さを実感し、自分なりに仕事のことを深く考えるきっかけとなった。
- 海上保安庁は海上だけではなく、陸上の管制業務や航空業務など幅広く活動しており、互いに協力しあいながら安全を守っていることを実感した。
海上保安学校について
- 海上保安庁の仕事は、現場でのミスが許されない国民にとってなくてはならない重要な存在であることがよくわかった。訓練生の姿は、同世代とは思えないほどたくましく見えた。
- 船を操縦される方やパイロットが、安全運航のために努力を惜しまない姿が印象的だった。安全で安心な生活を支えていることに対し、感謝の気持ちを抱いた。
- 特に印象に残ったのは、航海シミュレーターであった。シミュレーターであるにもかかわらず、全員が自分の役割に集中し、声をかけあうことで緊張した空気感を保っていた。保安官の方々への敬意とともに、海の危険性がよくわかった。
- 海上保安庁の方へのリスペクトが深まるとともに、同世代の皆さんが頑張る姿をみて、自分も頑張らねばと勇気を得た。
舞鶴の観光と文化について
- 人口減少の問題もポジティブに捉えて政策を考えていることが印象的で、新たな視点を得ることができた。
- 舞鶴では移動手段が課題である一方、京都北部のエリアが協力して地域の活性化に取り組んでいることがわかった。
- 海上保安庁とのコラボイベントやクルーズ船の観光客の歓迎行事など、海のまちらしい観光の取組が行われていることがわかった。
- 舞鶴には肉じゃがやカレーなど興味深い食文化があり、もっと詳しく知りたいと思った。
自らの目で見て感じ取り、考える経験を重ねながら、さらなる学びの意欲の醸成や地域への理解につなげてほしいと思います。