2026年5月9日、文化学部 文化構想学科 近藤 剛 教授の「国際文化基礎演習A」、「国際文化演習ⅠA」、「国際文化演習ⅡA」は、あべのハルカス美術館で開催されている「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」にて学外演習を実施しました。
春学期のゼミでは「文明」をめぐる比較文化論を展開するために、この度の鑑賞会を計画しました。「文明」の興亡から読み取れるメッセージとは何か、またエジプト文明を築いた古代人の価値観が現代の精神状況においていかなる意味を持ち得るのか、グループワークにおいて議論される予定です。

「基礎演習A」集合写真
各自、メモ帳を片手に作品の解説を書き写したり、撮影可能なエリアではスマホを活用したり、会場の随所に備えられた映像解説をじっくり見たり、課題に対して熱心に取り組んでいる様子が見られました。学生から寄せられた感想の一部を抜粋して紹介したいと思います。
- 今回の古代エジプト展において、全3パートの展示の中で特に死生観を扱った最終パートが最も興味深かったです。ミイラの具体的な製造工程もさることながら、来世への強い期待が反映された副葬品の豊富さには圧倒されました。中でも、書記の日常業務に使うような道具までもが副葬品として納められている点は、私にとって非常に物珍しく、面白い発見でした。死後の世界を現世の延長線上にあるものとして捉え、仕事道具まで揃えて万全を期そうとする当時の人々の価値観に触れ、エジプト独自の生と死の捉え方を学ぶきっかけとして貴重な機会となりました。
- 古代エジプトの人たちの死生観や宗教観を展示品やそれらの説明から学ぶことが出来ました。特に、私が興味を惹かれたのはミイラに関する展示のところでした。簡易的なアニメーションで説明されるミイラの作り方を観たあとに実際に見るミイラは迫力があり、質感などから当時の空気を感じることが出来ました。また、猫のミイラがあったことに驚きました。人だけでなく猫もミイラの対象でこれは古代エジプトの宗教観が大きく関係しているのだろうなと感じました。
- 古代エジプトの王族や貴族の墓には、冥界のある西への入り口として「偽扉」というものが設けられており、それは装飾的な石製または木製の扉で実際には開封できないが、亡くなった人のバー<霊魂>が現世と死後の世界を行き来するための門扉だったということを知り、非常に興味深く感じ、「偽扉」というものが実際どのようなものなのか気になったので、自分でも調べてみたいと思いました。また、古代エジプトでは、授乳する女性の姿を表す彫像も多く見られ、特にイシス女神がホルス女神を抱き授乳する姿は、後に幼いイエスに授乳する聖母マリアのキリスト教の図像表現の源になったとも言われているとありましたが、古代エジプトとキリスト教との間にそのようなつながりがあることを初めて知ったので非常に驚きました。古代エジプトとキリスト教との間に他にも何かつながりがあるのかどうか自分でも調べてみたいと思いました。
- 今回、見学した古代エジプト展は、最新技術を用いた現在の調査結果に基づいて、現在判明している古代エジプト文明の文化を網羅するようにまとめたような展示でした。例えば調査方法についての解説コーナーがあり、博物館施設にあまり行く習慣のない人にも考古学研究に興味を持ってもらうための工夫が所々に施されていました。そのため、あまり古代エジプトに対する知識がない私にも、課題のための導入として非常に参考になりました。その中で特に印象に残ったのは、作品リストNo.138「デメトリオスという名の男性の肖像とミイラ」です。仏像のように文化交流を経て形が変容していく物は多々ありますが、ローマ文明の肖像画が貼り付けられたミイラは非常にインパクトがありました。今回得られた発見を生かして、グループ課題に取り組みたいと思います。

「演習ⅠA」集合写真

「演習ⅡA」集合写真
ゼミを縦断しての学外演習であったため、その後の懇親会においても縦のつながりができたようです。先輩と後輩の良き関係構築のもと、研究や就活等において忌憚なく情報交換できる環境が整えられたことも収穫でした。近藤ゼミでは縦横の人間関係を大切にしながら、それぞれの個性を認め合い、ともに切磋琢磨して学びに努めてまいります。