「全く知らなかったカンボジアに近づいた気持ち」——参加者のこの言葉が、この日の空気をそのまま表しています。
2026年4月22日、京都産業大学 Innovation HUB(4号館4階)にて、トークイベント「世界は遠くない:カンボジア×京産大 “等身大”のトークイベント」を開催しました。カンボジアと本学の学生、卒業生、教員が交差し、海外の出来事を“自分ごと”として捉え直す時間となりました。

本イベントの目的は、海外(カンボジア)を身近に捉える入口をつくり、海外で動く・起業することを「特別な人の話」ではなく「小さく試す行動」として理解できるようにすること。さらに、現地の教育・生活・事業のリアルを通して、地域課題を発見し解決に関わる視点を持ち帰ることでした。
当日は学生・卒業生・教員・職員・社会人など学内外から幅広い参加があり、イベント終了後には登壇者と直接会話できる交流の場も設けられ、学生同士と卒業生との交流が活性化しました。
現場の温度が届く——河地一樹さんが語った「挑戦のリアル」
河地一樹さん(経済学部2021年卒/オンライン登壇)から届いたメッセージは、「一歩踏み出すと、世界は広がる」。学生時代の“悶々”から、海外へ踏み出した経験がそのまま言葉になっていました。
転機は大学3年春学期のアメリカ留学。得意ではなかった英会話、ホームステイ先のトラブル——それでも「自分で道を決める楽しさ」を得て、続く大学4年時の留学では、カンボジアのプロサッカークラブ Angkor Tiger FC でインターン。就活やベトナム渡航の頓挫など挫折も経験しながら、「やりたいことで生きることを諦められなかった」と、自分の軸を手放さなかったプロセスを共有してくれました。
そして2021年12月、カンボジア・シェムリアップへ移住。ゴミ山のあるアンルンピー村での養鶏事業『NFC』、さらにコオロギ事業『Cumaet』(コオロギの養殖から加工・販売まで)をゼロから立ち上げ、市内では牛タン屋『Re:与作』も運営。背景にあるのは「可能性があるのに、チャンスがない」現実への問題意識と、村人と共に価値を作り、挑戦の連鎖を生みたいという想いです。
アントレプレナーシップを学んでいる参加者からは「問いを問いのままにせず、行動に移している力と一歩を踏み出す勇気から大きな学びが得られてとても嬉しい」という声が寄せられ、挑戦のプロセスが“次の一歩”として共有されました。

どの分野も活かせるフィールド⇒ 可能性が無限大!!
参加者の視点を「教育」の側から深めたのが、若林亜美さん(文化学部2018年卒)でした。若林さんは「カンボジアで見つけた“自分の進む道”」として、日本語教育へ至るストーリーを紹介しました。
幼少期にテレビで見た「貧しい国・カンボジア」の印象から関心を持ち、2015年には農村部で日本語・英語教育ボランティアに参加。そこでの「思っていたのと全然違う」という驚きが、進路を動かす起点になったといいます。
その後はカンボジア農村部でのインターンを重ね2020年10月、コロナ禍の中、就職のため渡航しカンボジア日本人材開発センター(CJCC)に約5年半勤務しました。現在は大学院で、海外の中等日本語教育や学習動機の変容をテーマに研究を続けています。
若林さんのカンボジアの実践から得られた「外国語学習は将来の選択肢を増やす」「異文化理解を通じて日本を相対化する視点、多角的に捉える力、柔軟な対応力」そして「与えられた情報を問い直す批判的思考」や「ご縁を大切に」というメッセージが、参加者の背中を押しました。
参加者からのコメントに「全く知らなかったカンボジアに近づいた気持ち」という実感が寄せられ、教育の現場から立ち上がる言葉が“自分の学び”に接続した手応えでもありました。

現地学生の日本語スピーチが、距離を一気に縮めた
KHJグループ(カンボジア)マネージャーのティダー氏はオンラインで登壇、現地における井戸の設置、光共立インターナショナルスクールなどの事業を紹介していただきました。グループの運営する学校とは対照的な田舎の小学校の現状が画像でリアルに映し出され、国際課題への参加者の視線が自然と前のめりになっていくのが分かりました。
カンボジアからゲストとして来学したのは、アンコールワット日本語コンテスト優秀賞受賞者の大学生2名。チンチョーン・ビソットさん(「カンボジアの遺跡の修復」)、リ・サナさん(「カンボジアの料理」)が日本語で発表しました。


「各人の良さを存分に発揮したスピーチは飽きることなく興味深かった」——等身大のトークが会場に響き渡り、遠い国の話が“目の前の声”として立ち上がっていきました。
教員とのクロストークで「問い」を整理し、行動へ接続する
後半は教員3名(吉川 敬介 教授(国際関係学部) 開発経済論、ASEAN経済、地域研究(カンボジア/今西 利之 教授(外国語学部 アジア言語学科) 日本語学(現代語)、日本語教育学/中谷 真憲 教授(アントレプレナーシップ学環) 政治学・公共政策学)と登壇者によるクロストークへ。それぞれの専門分野の視点で「問い」が整理され、参加者が行動へ落とし込むヒントになりました。
河地さん・若林さんから受け取った刺激が“熱量”で終わらず、各自の関心や選択に接続されていく——その整理の役割を担ったのが、このクロストークでした。

交流会が生んだ「直接聞ける」体験
イベント後の交流の場は、日本のお菓子とジュースを楽しみながらの会話が弾みました。特に卒業生からは自然と質問が投げかけられ、学生同士と卒業生の交流が活発に進みました。


参加者から「カンボジアの力を見た感じ」という感想も寄せられ、遠い国の出来事が、ただの情報ではなく「力」として体感される——その変化こそが、このイベントの意義でありました。
