2026.04.06

持続可能な社会の構築に向けて企業が果たす役割とは― 井口ゼミがパタゴニア中之島店と「循環経済」をテーマにワークショップを開催しました

国際関係学部・井口ゼミ(研究テーマ:持続可能性をめぐるグローバル・ガバナンス)は、環境保護とビジネスの両立において世界的に注目されているアウトドアブランド「パタゴニア」の中之島店を訪問し、「循環経済(circularity)」をテーマとしたワークショップを開催しました。

本ワークショップは、ゼミ卒業生が同店に勤務していることを契機に実現したもので、企業と大学、そして学生が対話を通じて持続可能な社会のあり方を考える貴重な学びの場となりました。

持続可能な社会の構築に必要なこととは

井口ゼミでは、環境保護を大前提としながら、経済発展と社会包摂を同時に実現しうる社会、すなわち「持続可能な社会」をいかに構築するかについて研究を進めてきました。その過程で、「サステナブル・ビジネス」という言葉がしばしば用いられる一方で、その定義や実態が曖昧である点に疑問を持ち、資本主義の成長モデルを前提としない「定常経済」といった概念についても考察を重ねてきました。

そうした議論を深める中で、行き着いた問いが、「企業は持続可能な社会変革において、どのようなアクターとしての役割を果たしうるのか」という点、そして「大学生自身もまた社会変革の重要な担い手であり、他のステークホルダーとどのように連携していけるのか」という点でした。

これらの問いを理論だけでなく実践的に考える機会として、今回、パタゴニア中之島店との協働によるワークショップが企画されました。

パタゴニアの先進的な取り組み

パタゴニアは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というミッションを掲げ、それを単なる理念にとどめることなく、具体的な事業活動や経営判断として実行しています。

たとえば、オーガニックコットンへの早期転換やリサイクル素材の積極的な活用など、製品づくりの段階から環境負荷の低減を追求してきました。また、「壊れたら直す」ことを前提とした修理サービス(Worn Wear)をビジネスモデルに組み込み、製品を長く使う文化の醸成にも取り組んでいます。

ワークショップでは、こうした取り組みの背景や意思決定のプロセスについて、現場で働くスタッフの方から詳しい説明を受けました。特に、企業として利益を追求しなければならない中で、いかに環境保護と両立させているのか、また、パタゴニア一社のみが先進的な取り組みを行っても社会全体への影響には限界がある中で、どのように他企業や消費者へ波及効果を生み出していくのかといった点は、ゼミ生にとって非常に示唆に富む内容でした。

説明後には、実際に製品に触れる時間も設けられ、素材や縫製、補修の工夫などを体感することで、循環経済の考え方への理解が一層深まりました。

「直す」ことで生まれる新たな価値

当日は、ゼミ生が大切に着続けているビンテージのパタゴニア製ジャケットをその場で修理する場面もありました。色とりどりのボタンを用いて生まれ変わったジャケットを前に、「さらに愛着が湧いた」と語る学生の笑顔が印象的でした。この体験を通じて、単に「モノを長く使う」だけでなく、「直すことによって新たな価値やストーリーが生まれる」という循環経済の本質を、実感を伴って学ぶことができました。

パタゴニアの取り組みは衣料品にとどまらず、近年では食料分野にも広がっています。この点については、次回のワークショップでさらに掘り下げて議論していく予定です。

ステークホルダーとしての大学生

大学生もまた、持続可能な社会の構築に向けた重要なステークホルダーであることは言うまでもありません。ワークショップを通じて、パタゴニアのスタッフからは「大学生がこれほど高い関心を持ってくれていることが嬉しい」といった声も聞かれ、企業側にとっても学生との対話が大きな刺激となっていることがうかがえました。

今後、持続可能な社会の実現に向けては、多様なアクターが連携し、それぞれの立場から役割を果たしていくことが不可欠です。

今回のワークショップは、そのような連携の第一歩となるものであり、今後の継続的な協働に向けた礎を築く機会となりました。井口ゼミでは、教室内での理論的学習にとどまらず、学外との往還を通じて、現実社会の課題と向き合いながら、より深い学びを追求していきます。