2026.02.02

人間情報学研究センター第1回研究会「人間・IT・データの共生を目指して」

人間情報学研究センター センター長
伊藤浩之

 人間情報学研究センターの第2期目の最終年に当たるため、現時点での研究成果の確認及び第3期の研究活動の拡張の方向性を検討するために、研究会を実施した。この報告書では、研究会のプログラム、研究会写真および研究発表の内容に関して概要をまとめる。

研究会プログラム

2025年9月27日(土)
京都産業大学14号館14102教室

講演者リスト
学外ゲスト
柏野 牧夫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
小杉 尚子(専修大学ネットワーク情報学部)     
本学メンバー
上田 章矢(先端情報学研究科 M1)     
栗 達(情報理工学部)          
田中 宏喜(情報理工学部)         
中島 伸介(情報理工学部)         
棟方 渚(情報理工学部)         
山田 将太郎(先端情報学研究科 D3) 
客員研究員
河合 由起子(関西大学)          

第1部 座長 伊藤 
9:30-9:35 開会挨拶(人間情報学研究センターに関して) 伊藤
9:35-9:40 研究機構長挨拶 中島
9:40-10:10 田中 オプトジェネティクスを用いた画像情報処理における
視覚皮質抑制性回路の役割の検討
10:10-10:40 山田 機械学習(AI)を活用した視覚用BMI(人工視覚システム)の実現に向けて
10:40-10:55 休憩
10:55-11:55 柏野 スポーツの不定性に対する身体と脳のダイナミクス

11:55-12:00 集合写真撮影
12:00-13:00 昼休み

第2部 座長 田中
13:00-13:30 上田 人間と人工知能の融合を目指した人間脳波GANの研究
13:30-14:00 棟方 手掌からのぞく交感神経の亢進と情動
14:00-14:30 中島 音響型ARオンラインマラソンシステムの開発
14:30-14:45 休憩

第3部 座長 中島
14:45-15:45 小杉 音楽療法研究の臨床実践から考える『データ工学』の可能性とヘルスケアへの道
15:45-16:15 栗 AI技術による安全で快適な移動体験と都市モビリティの実現
16:15-16:45 河合 ソーシャルビッグデータの分析・推薦・可視化の実践的応用技術
16:45-16:50 閉会挨拶 伊藤

研究発表内容の概要


 最初にセンター長の伊藤から開催のあいさつがあり、研究センターの経緯、目的、組織、研究内容に関して簡単な紹介を行った。研究機構長の中島より本学の先端科学技術研究所の組織に関しての説明が行われた。
田中はマウス視覚皮質からの細胞活動を多電極で記録し、オプトジェネティクスにより抑制性細胞の活動を抑えた場合の刺激周波数へのチューニング特性の変化を報告した。山田はモニター上で異なる位置に刺激を提示し、マウス視覚皮質の神経活動を経頭蓋蛍光イメージングにより計測した。刺激位置と局所脳波の時空間活動パターンの関係を機械学習(畳み込みニューラルネットワーク)で学習させることにより、神経活動から刺激位置を判別できることを報告した。
柏野氏はスポーツアスリートの生体情報を多角的に計測し、スポーツパフォーマンスと本人が意識していない生体状態との関連に関して興味深い研究成果を多く報告した。

上田は人間の顔画像を本物とGAN(敵対的生成ネットワーク)で作成した偽画像に対して、脳波活動から真偽の判別が可能かどうかに関する研究経過を報告した。棟方は皮膚電気反応を用いた多くの研究を紹介した。認知症患者やてんかん患者への介入実験への可能性を議論した。中島はマラソンのアシストアプリケーションの開発の長年の研究経過と最近の改善結果に関して紹介した。
小杉氏は音楽療法に関して社会問題も含めた広範囲なレビューを行った。認知症や統合失調症患者への介入実験などさまざまな取り組みを紹介した。

栗は自転車走行中の顔画像からの快適度の評価や見通しの悪いコーナーの検出、カーブミラー画像の解析など交通関連のアシストツールの開発に関して近年の研究を紹介した。河合は自身が行ってきた広範囲の研究内容の概説を行い、特にtwitterのビッグデータの解析を説明した。
最後に伊藤が閉会の挨拶と研究会の総括を行った。学外ゲストの2名は自分の専門分野に閉じこもるのではなく、分野を横断して、新しい分野の既成知識と正面からぶつかり、新しい視点からユニークな研究成果を上げている。伊藤からは両名に新しい分野に挑戦する若手研究者、学生へのアドバイスを求めた。柏野氏からは「特に分野を変えることを意識していない。確かにその分野では自分を知る人が誰も居ないことは不利であるが、ただ、打算もあり、その分野では考えられていないアイデアを持って参入できる。このメリットが生かせるかどうかは考えている。」、小杉氏からは「結局、その分野が好きで楽しんでいるということが大切である。」との回答を頂いた。
研究センターとしては初めての機会であったが、それぞれの研究発表はレベルが高く、お互いの研究に関して分野を超えた活発な議論を行えたことは今後の研究センターの方向性を検討するためには大変に有意義であった。

学部コロキウム


学外ゲストの柏野牧夫氏には研究会前日に情報理工学部コロキウムにおいて一般向けの研究紹介セミナー(タイトル 「情報技術×脳科学でアスリートの技と心に迫る」)を行って頂いた。学部教員の外にも学外参加者、学部生、大学院生などが聴講し、活発な議論を行った。コロキウム終了後はお茶会において関心のある参加者と議論を継続した。
また、もう一人の学外ゲストの小杉尚子氏も研究会前日に来校され、研究センターメンバーの中島、河合との研究議論を行った。

謝辞

最後に、研究会の準備、運用では嶋﨑亜紀さん、武藤太央君にご協力頂いた。センター長からお礼を申し上げる。京都産業大学研究機構には研究センターの活動への支援に対して感謝する。

人間情報学研究センター