2026年1月19日、国際関係学部の科目「インディペンデント・リサーチ」において成果発表会が開催されました。当日、鈴木杏花さん(4年次)は、「アジアの医療ツーリズム市場における競争力分析―医療現場サービスと観光サービスの視点から見る日本の可能性―」と題する研究成果を発表しました。

人の国際的移動の主な動機としては、従来から就労、留学、観光などがありましたが、本研究で鈴木さんは、近年多様化する観光の中でも医療を目的とした移動、すなわち医療ツーリズムに注目しました。そのうえで、この分野において日本は、タイや韓国と比べるとやや後れを取っている現状をまず示しました。
伝統文化や和食、加えて価格競争力を強みに国際観光市場で高い評価を得ている日本において、なぜ医療ツーリズムがあまり発展していないのかという問題意識のもと、分析が行われました。日本は社会インフラや観光資源が豊富であるだけでなく、医療技術の質・量の両面でも優れている点が指摘される一方で、他のアジア諸国と比較して医療ツーリストの受け入れが低調である理由について、インタビュー調査などを踏まえて説明がなされました。
未整備な受け入れ体制や医師不足、医療業界における現状維持志向、病院とツーリストを仲介する役割の不足などが、克服すべき課題として挙げられました。また、医療ツーリズムビジネスが日本で成長するには政府による制度化が不可欠である一方、医療業界の構造や政界との関係性から、短期的に大きな変化を見込むのは難しいとの見解も示されました。他方で、グローバルな富裕層を対象とした国際医療ビジネスには一定の成長可能性があることも指摘され、今後の動向が注目されます。
