2026.01.22

外交の現場を知る!外務省課長補佐が語る「現代アメリカと日米関係」【外務省 外交講座】

国際関係学部の専門教育科目「外交論II」(担当:高原 秀介 教授)では、「現代アメリカと日米関係」をテーマに、外務省北米局北米第一課の前田 和宏 課長補佐をお招きし、講演いただきました。

(学生ライター 経営学部 2年次 野村 明花)

ゲストスピーカーの前田 和宏 課長補佐

外務省でのキャリアと学び

前田氏は2016年に外務省へ入省し、経済局国際貿易課を経て、2024年8月から北米第一課に所属されています。これまで、フランスでの研修や在ジブチ日本国大使館での交渉、人物交流室での日本への働きかけなど、幅広い業務を経験されてきました。「国と国の利益が衝突する場面では、一筋縄ではいかない」という言葉が印象的でした。

日米同盟の重要性

アメリカの国防費は日本の150倍の規模、約8,300~8,500億ドルと推定され、国家予算の中で非常に大きな割合を占めています。日米安全保障条約の目的は「日本と極東の平和と安全の維持」にあり、日本の安全保障は極東の情勢と深く結びついています。

さらに、日米同盟は日本の安全保障の柱であり、米軍の抑止力と日本の専守防衛が組み合わさることで、周辺国に対して「日本を攻撃すれば米国とも対峙する」という強いメッセージを発し、紛争の芽を抑えています。近年は、サイバー・宇宙・経済安全保障など幅広い分野で協力が進み、地域の安定と日本の国際的な信頼を支える重要な枠組みとなっています。

また、日本は2016年以降、6年連続で世界最大の対米投資国です。「日本企業の投資がなければアメリカは成り立たない部分がある」との話もあり、その影響でアメリカ人の日本に対するイメージも変わってきているそうです。

現在のアメリカ情勢

トランプ大統領は、保守的な価値観を持つ(宗教観、銃規制、家族観など)共和党支持層や非大卒の白人層から依然として高い支持を得ています。一方で、かつては重なりがあった民主党と共和党のイデオロギーは、2017年頃から所得・学歴・都市化の進行に応じて価値観が集積し、地理的にも“青い州(民主)/赤い州(共和)”が色分けされやすくなったことから両極化が進み、政策や価値観の溝が広がっています。

また、アメリカは州ごとに経済状況や社会的背景が異なるため、支持傾向も大きく変わります。全土で見るとトランプ政権の支持率は年々低下傾向にあり、かつて高く評価された不法移民対策についても、6月上旬以降は不支持が支持を上回る状況に転じたとされます。前田氏は、「中間選挙に向けて、大統領が様々な行動を取る可能性がある」との見解を示しました。

日米関係の現状と今後

日本とアメリカはグローバルパートナーであり、前田氏ご自身も「両国関係は良好に推移している」との自負をお持ちであると語られました。特にバイデン元大統領と岸田元総理は関係が良好だったとのことです。また、高市総理とトランプ大統領がドジャースの試合をともに観戦した際には、同行していた外務省職員も「何が起こるか分からずヒヤヒヤした」というエピソードも紹介されました。

今後の関係については「対中関係が重要になる」と指摘されました。トランプ大統領は4月に中国を訪問予定であり、日本がどのように立場を示すのか、また米中がどの程度接近するのかが注目されるとのことです。

講義を終えて

これまで外務省がどのような役割を担っているのか明確に理解できていなかったのですが、外交の最前線で活躍されている前田氏のお話を直接伺うことができ、大変貴重な経験となりました。今回の講演を通して、今後の日本外交への関心が一層深まりました。