国際関係学部の専門教育科目安全保障論Ⅱ(担当:河原地 英武 教授)は、日本の自衛力の実態、日米安保体制の歴史、在日米軍基地問題、憲法第9条をめぐる議論など、日本の安全保障を多角的に考察します。今回は、元スウェーデン防衛駐在官である自衛隊 中部方面総監部 一等陸佐 林 義明 氏をゲストに迎えた授業が実施されました。
(学生ライター 現代社会学部 3年次 町野 航汰)
防衛駐在官(防駐官)とは?
防衛駐在官は、防衛省・自衛隊が海外に派遣する専門職で、駐在国の軍事・安全保障情報を収集・分析しつつ、日本との協力関係を構築し、外交・防衛の橋渡し役としての役割を担います。
林氏によると、防駐官は単なる情報収集者ではなく、「安全保障の現場でコミュニケーションを通じて信頼を築く存在」であり、国際協力の要となるポジションです。
防衛駐在官の主な任務
林氏は、防駐官としての任務を次の3つに整理して説明しました。
1.「情報収集」駐在国の安全保障への理解や国防軍の特性の把握、日本と協力できる分野の把握などを行う。
2.「情報の発信」日本の安全保障政策説明会を開催するなどし、誤解やジレンマを解消する。
3.「交流の促進」相互理解を深め、外交事業や国際協力の円滑な実行に寄与する。
林氏は「コミュニケーションがすべての活動の原点」と強調し、誠実さとユーモアを交えた対話、そして日本に関する知識を身につけることが円滑な交流につながると語りました。

続いて、スウェーデンで防駐官として任務に就いた経験から、スウェーデンの安全保障の特色や武力紛争の回避に向けた取り組みをDIME-Tで分析した結果を説明しました。
DIME-T分析とは?
• Diplomacy(外交)
• Information(情報)
• Military(軍事)
• Economy(経済)
• Technology(技術)
この5要素を総合的に評価する枠組みのことです。
林氏は最後に、「国際規範だけでは世界情勢を抑制できない。同盟は有効であるが、一方で、ウクライナの状況を踏まえると、同盟に加盟していない国家が紛争に巻き込まれる要因の1つになり得る。」と指摘しました。各国の立場や情報を正確に把握し、対話や交渉の共通基盤を築く防駐官の存在は、今後ますます重要になると感じられました。
※本講義内容は個人の見解であり、組織を代表するものではありません。