2025.12.26

法学会秋季講演会に 法学部 田村 正博 教授が登壇されました

本学法学会が主催する秋季講演会に、法学部 田村 正博 教授が登壇しました。講演のテーマは「警察行政と警察研究~京都産業大学との関わりを含めて~」です。長年警察庁で勤務し、秋田県・福岡県の警察本部長、警察大学校長を歴任した田村教授ならではの貴重なお話を伺うことができました。

警察組織の仕組み

講演は「警察とは何か」という基本から始まりました。私たちがイメージするのは「おまわりさん」や「刑事さん」ですが、警察の業務は大きく2つに分類されます。
・地域レベル:遺失物、交通事故、迷子対応など
・広域レベル:組織窃盗、特殊詐欺など
また、いつも起きているもののほかに、
・突発重大事案:多数の警察官による対応が必要な事件
にも対応しなければなりません。これらに効率的に対応するため、日本では都道府県警察制度が採用されています。意外な事実ですが、「警視庁」は東京都の警察であり、警察官も地域ごとに採用されます。ただし、幹部は国から任命され、警察庁の指揮の下で統一的な運用が行われています。

登壇した田村 正博 教授

都道府県警察勤務時代の経験 

続いて、警視庁勤務時代、皇太子殿下のご成婚警備を担当した際の緊迫した状況について語られました。当時は過激派による爆弾・放火事件が全国で頻発しており、対策のため専門部隊を設置したことが成果につながったそうです。
さらに、福岡県警本部長時代には暴力団「工藤会」への対策として、全国に先駆けて暴力団排除条例を制定。利益供与を禁止することで暴力団の勢力を弱体化させることに成功し、現在では全国に同様の条例が広がっています。

京都産業大学での警察研究

本学は産学連携を推進し、日本初の「社会安全・警察研究所」を設置。警察実務家出身の専任教員や、西日本唯一の被害者学専任教員による教育を受けられる環境が整っています。これは警察官志望者にとって大きな利点であり、被害者学や社会安全政策、サイバーセキュリティ政策は警察官を目指さない学生にも有益な学問です。
田村教授は「警察の研究が必要な時代となった。継続的に学ぶ場を確保する意義がある」と強調されました。講演を通じて、警察行政の仕組みや歴史、被害者支援の重要性を深く理解できました。特に、近年まで被害者救済がなされていなかった事実には強い衝撃を受けました。警察志望者はもちろん、社会安全に関心のある学生はぜひ関連科目を受講してみてはいかがでしょうか。