
国際関係学部では、一般社団法人一枝会が主催する海外渡航体験計画支援制度「行ってみ!チャレンジ」を利用して海外調査を行った学生による成果報告会が開催されました。今回の報告会では、厳正な審査を経て採択され、2025年度に渡航を実施した4名の学生が、それぞれの調査成果や現地での経験について発表を行いました。
(国際関係学部4年次 樋上智大)
各学生の研究テーマ
• ウガンダで新たな難民支援モデルを理解し、将来への先見性をより明確にする旅(長岡 佳希さん)
• 東南アジアにおけるアパレル産業の模倣品調査(樋上 智大さん)
• マレーシア・ペナン州南部における人工島開拓に伴う影響:漁民の現状と人々の意識に着目して(山本 悠斗さん)
• 中国の『一帯一路』構想が世界の政治・経済に与える影響と、その恩恵と懸念に迫る現地調査(永妻 陽介さん)
難民問題に対するウガンダの姿勢
長岡佳希さんは、ウガンダにてUNHCRなどの国際機関やNGO、そして実際に暮らす難民の方々へのインタビューを実施しました。報告では、移動や労働の自由が認められている一方、言語の壁による教育の困難さや、母国へ帰郷しビジネスを行いたいという難民の願いなど、政策と現場が抱えるギャップについて詳しく解説されました。長岡さんは「現場に足を運んだからこそ、支援の在り方を深く問い直すことができた」と語っていました。

東南アジアにおけるアパレル副資材の模倣品対策
樋上智大さんは、ベトナムのホーチミン・ハノイを訪問し、現地市場に流通する模倣品の実態調査を行いました。日本企業へのヒアリングに加え、現地の伝統的な卸市場での調査を行い、正規品と模倣品が混在する複雑な流通構造を目の当たりにしました。言葉の壁に苦戦しながらも、自作のヒアリングボードを活用して現地の人々とコミュニケーションを図ったエピソードが紹介され、教科書だけでは得られない現場の実態を肌で感じる重要性が報告されました。

マレーシア・ペナン島南部における人工島開拓に伴う影響
山本悠斗さんは、マレーシア・ペナン島で進行中の巨大プロジェクト「ペナン・シリコン・アイランド」に焦点を当て、開発と環境・生活の維持との両立について調査しました。スマートシティ化を目指す州政府の狙いがある一方、埋め立てにより生活を脅かされる漁民からの強い反対の声や、市民の間でもプロジェクトの認知度に差がある現状を報告しました。経済発展と伝統的な生活の保護という複雑な課題に対し、様々な視点から考察がなされました。

発表後には質疑応答の時間が設けられ、日本企業の海外戦略についてや、大規模開発に対する現地住民の反応などについて、学生から質問が次々と投げかけられ、活発な議論を通じて全体で意見を共有する場となりました。
報告会の最後には、吉田先生より「私自身も学生時代に海外へ行き、言葉が通じず悔しい思いをした経験があります。学生時代に海外の現場で悔しい思いやうまくいかない経験をすることは、将来必ず生きる財産になる」とのメッセージを頂きました。発表した学生たちは「行ってみないと分からないことがある」と語り、改めて自らの足で現地に行き、自分の目や耳で情報を掴み取る行動力の大切さを確認することができました。
