2025.12.15

学生主体でつかんだ特別な学び:ニチコン株式会社プロジェクト

国際関係学部 3年次 川西 晏莉

2025年12月3日(水)、国際関係学部「研究演習Ⅱ・Ⅳ」(担当:植原行洋教授)の一環として、「ニチコン株式会社」を訪問しました。今回私たちが取り組んだプロジェクトは、担当教員経由で先方から課題を与えられたものではなく、植原ゼミの4年生が自ら企業に打診し、訪問と課題をご提供いただいた機会でした。

私たちを受け入れてくれた企業が、コンデンサや蓄電システム、EV関連技術の分野において国内トップレベルの実績を持つ「ニチコン株式会社」であったことを知った瞬間、驚きと感謝の念が込み上げると同時に、これから始まるプロジェクトへの大きな期待と緊張感が一気に高まり、身の引き締まる思いでスタートを切りました。課題を受け取った当初は、同社が扱う技術が高度かつ最先端であることもあり、専門用語を理解するところからの挑戦となりました。同社から事前に提示された資料は専門性が高く、読み解くだけでも苦労した場面が多々ありました。さらに3年生にとっては、ゼミ内の他のタスクとも時期が重なっていたため、精神的・時間的負担は決して小さくありませんでした。

プロジェクトが4年生先輩から発表されたキックオフミーティング

それでも、グループワークを通して活発に意見交換を行い、自主的に文献調査や市場分析を進める中で、徐々に理解が深まり、企画の方向性や構成が明確になっていきました。さらに、プロジェクトに行き詰まった際には、植原先生がゼミとは別にオンラインで時間を確保してくださり、企画の方向性について丁寧にアドバイスをいただいたグループもありました。こうした支援があったことで、学生一人ひとりが最後まで前向きに取り組む環境が整えられていたと強く感じています。また「より良い提案に仕上げたい」という想いが学生一人ひとりに強く芽生え、発表直前であるにもかかわらず資料の構成を最後まで諦めずに見直したチームもあるなど、真剣に取り組む姿勢がゼミ全体に広がっていきました。

そして迎えた訪問当日。烏丸御池駅のすぐ近くにそびえ立つニチコン本社ビルを目にした瞬間、その存在感と企業規模の大きさに圧倒されました。自分たちがこれからこの場所でいただいた課題に対してプレゼンテーションを行うのだと思うと、胸が高鳴り、同時に責任の重さも実感しました。
館内は非常に洗練された空間で、長い歴史と確固たる技術力を誇る企業としての風格が漂っていました。プレゼンの前には企業概要の丁寧なご説明だけでなく、実際に受賞歴のある製品を手に取って体験させていただく機会もあり、学生にとって大きな刺激となりました。

いよいよ迎えたプレゼンテーション本番。新卒社員の方や、実際に経営を担う役員の方々が目の前に並ばれ、その場に立つだけで強烈な緊張感を覚えました。発表は3年生と4年生の各2グループが順に行いました。「農業用EVモバイル給電事業~ロボットを止めない。移動式・急速充電インフラの構築~」「FedExの配送網を止めないEV化戦略~カリフォルニアのインフラ遅延を突破するニチコンの現実解」「NECST事業部10カ年種まき戦略」「インドネシアの未来は充電中~ヌサンタラにおける都市開発とニチコンの可能性」という発表でした。発表後には、私たちのアイデアに対して評価していただいた点もありましたが、それ以上に、実現可能性の不足、ビジネス視点の浅さ、理解が不十分だった部分など、多面的かつ鋭い指摘をいただきました。実際のビジネスの世界がいかに複雑で、簡単ではないかを肌で感じる機会となりました。同時に、実務ベースのフィードバックを直接いただけたこと自体が、大きな価値のある経験であり、これほど具体的な助言を受けられたのは、学生が全力で取り組んだからこそだと感じています。 今回のプロジェクトでは、悔しさが残る点や反省すべき点も多くありました。しかしそれを上回るほど、多くの学びと大きな成長を得ることができました。企業の第一線で活躍する方々から直接意見をいただくという貴重な経験は、今後の学習姿勢やキャリア形成において必ず役立つと確信しています。

最後になりますが、プロジェクトの進行を支えてくださり、行き詰まった際には親身にアドバイスをくださった先生、さらには今回のプロジェクトを企業からいただくきっかけをつくってくださった4年生の先輩方にも、深く感謝申し上げます。そして、何よりこのような貴重な学びの機会を提供してくださったニチコン株式会社の皆様に心より御礼申し上げます。この経験を糧に、今後のゼミ活動にもより一層励んでまいります。

ニチコン株式会社のHP
https://www.nichicon.co.jp/