12月8日(月)、2025(令和7)年度第3回全学FD/SD研修会を開催しました。
京都産業大学では、学修者本位の教育の実現を目指し、さまざまな取り組みを行っています。
第3回全学FD/SD研修会は、『「+オンデマンド授業等」をどうデザインするか~新たな授業形態での実践と工夫~』をテーマに教学センターからの導入説明と本学教員からの事例紹介、グループワークを通じて「+オンデマンド授業等」について、取り組み事例の共有や問題点、良かった点を振り返る機会としました。
開会にあたり、佐藤賢一教育支援研究開発センター長より挨拶があり、その後、教学センター 杉原 隆史 課長が導入説明を行いました。導入説明では、今年度からの「14週(対面)+90分相当オンデマンド」導入の経緯と運用上の整理事項が示されました。背景として、大学設置基準等の改正による学年暦の多様化や、学内のBYOD環境整備を踏まえ、学修者本位の教育を促進する観点から導入した旨が述べられました。運用面では、オンデマンドの実施方法・配信時期・時間数をシラバスに明記し、視聴期間は少なくとも1週間、資料掲示+課題のみの代替は不可としていると説明されました。事前・事後学修は総時間で設計し、オンデマンド授業の分割配信やフィールドワーク等代替手段での実施も可能であると紹介がありました。
その後、国際関係学部 三田 貴 教授(教育支援研究開発センター副センター長)と理学部 渡辺 達也 教授、生命科学部 川根 公樹 准教授から事例紹介がありました。
三田教授からは、必修の英語科目や講義・演習で「+オンデマンド等」を科目に応じて多様な形式で活用している事例が紹介されました。1年次では自己学習計画や英語レポート、プレゼンの基礎を扱う全クラス共通動画を作成し、2年次演習ではアカデミックライティングの基礎を共通動画として提供しています。講義科目では事例導入や分析手法解説をテーマ別の動画(計90分)に整理し、学年共通英語科目では全クラス合同のプレゼンコンテストを実施し、アウトプットに集中する形式であることが報告されました。また、学期進行中の動画作成負担や公開時期の調整、シラバスとの整合といった運用上の課題の指摘もありました。
渡辺教授からは、理学部の各学科における実践例が紹介されました。数理科学科の「代数学・幾何学IA」は説明が長くなる箇所を45分×2回の動画に分割し、物理科学科の「力学A」は板書量の多い単元を丁寧に解説。「量子力学B」では中間レポートの解説を動画化、宇宙物理・気象学科の「力学A」では期末試験後の解説動画で復習を行っています。共通教育科目の「気象予報」では天気図の作成方法の解説、作成、答え合わせを3回に分けて実施。これらの例の共通点として、高度な内容や分量の多い内容、答案解説をオンデマンドにし、動画を複数回に分ける例が多い一方、学生の反応や把握が難しいといった課題も共有されました。
川根准教授からは、1年次必修「生物学通論A」で、オンデマンド相当としてJT生命誌研究館(高槻市)を訪問したことが紹介されました。2日間で実施し(不参加者は個別訪問可)、研究者によるミニレクチャー(45分)、展示ツアー(60分)、卒業生トーク等で構成しています。参加や提出の比率が座学時より低下した点が課題として挙げられました。施設訪問は対面授業では得がたい視覚・体験的な学びにより興味喚起や理解の定着を図る一方、参加率確保や教員側の時間負担など運営上の課題も共有されました。
その後のグループワークでは、「+オンデマンド授業等」について、取組事例の共有や良かった点、問題点等の振り返りを実施しました。各グループからは、「小テスト・レポート解説や分量が多い、また高度な内容はオンデマンドへ、対面は演習・アウトプットに集中すると効果的。」「字幕・スクリプト等のアクセシビリティが重要。Teamsの自動文字起こしは有効だが、全科目での徹底は課題。」「14回のどこに入れるかが課題。同時期に各科目が配信すると視聴が飽和するため、時期分散が必要。」「フィールドワークはオンデマンド相当として有効だが、参加率・交通費・安全配慮・日程調整など運営上の負担がある。」など、全体共有がありました。最後に参加者個々の気づきを付箋に書いて共有しました。
当日は、対面で26名が参加しました(加えて、オンデマンド視聴申込者79名)。参加者からは、「講義以外の授業に関するオンデマンドの取り組み方を知ることができた。」「オンデマンド授業の形態について、多様な形態で実施できる可能性について知ることができ、大変参考になった。」「動画作成や編集・配信の実際について知ることができた。」といった声が寄せられました。
教育支援研究開発センターでは、今後も本学教職員の教育の質保証への知識向上の一助となるよう、継続して研修を企画していきます。




