2025年11月30日、文化学部国際文化学科 桑原 夏子 准教授の「国際文化基礎演習B」、「国際文化演習IB」は、アサヒグループ大山崎山荘美術館の展覧会「美術館で大航海!――コレクションをたどって世界一周」を見学しました。
大山崎山荘美術館の本館は、関西の実業家、加賀正太郎(1888-1954)の別荘として大正から昭和にかけて建設されたものです。加賀氏の没後、建物は転売を経て老朽化しましたが、京都府、大山崎町、そしてアサヒビール株式会社が中心となって修復・保存・公開のため尽力し、美術館として生まれ変わりました。現在、同美術館にはかつての朝日麦酒株式会社(現アサヒグループホールディングス)の初代社長、山本爲三郎によるコレクションが中心に収蔵されています。加賀氏の設計した本館の建物はイギリスのチューダー・ゴシック様式をまねたものであり、暖炉を囲む画像石は中国の後漢時代のもの、またステンドグラスはヨーロッパから取り寄せたものです。そして山本氏による民藝作品のコレクションを中心に、モネ、ゴッホ、ピカソ、シャガール、イサム・ノグチといった多様な西洋近現代美術作品も収蔵されています。さらに後年増設された新館は日本の誇る建築界の巨匠、安藤忠雄の設計になります。今回の展覧会は、大山崎山荘美術館の審美的な空間を楽しむとともに、同美術館が誇る時代も地域も異なる作品群を鑑賞するというたいへん贅沢なものでした。

美術館入り口にて、2年生、3年生全員集合

紅葉が映える大山崎山荘美術館
見学会当日は暖かい天気に恵まれ、また2年生、3年生全員揃っての見学となりました。ゼミ生は4グループに分かれ、バーナード・リーチの鳥の図像について考察するグループ、現代美術の不思議さに挑むグループ、モネの描く水面に映った世界と水面に浮かぶ事物との境界を観察するグループ、そしてパルミラの墓碑彫刻におけるアジアとヨーロッパの文化交流の痕跡を見出すグループと、2年生、3年生で意見交換しながら課題に取り組みました。
ゼミ生は全員、初めて同美術館を見学したとのことでしたが、古今東西の世界の美術に親しむと同時に、加賀氏と山本氏という二人の関西の実業家による文化貢献にも触れる良い機会になりました。
解散後は館内のコレクションをもう一度じっくり見学する学生もいれば、庭園で紅葉を楽しみながらピクニックをする学生もおり、「しっかり学ぶ・楽しく学ぶ」を実践した1日となりました。

肩組んでビッグスマイルの桑原ゼミ3年生

ピースサイン派多数の桑原ゼミ2年生