11月13日、文化学部学生広報チーム「ClaSP!」主催の卒業生ランチトークイベントが開催されました。ゲストには、文化学部京都文化学科を2024年に卒業し、現在は株式会社ジェイアール西日本ホテル開発の大阪ステーションホテルに勤務されている長塚 来衣氏をお迎えしました。在学時は奥野 圭太朗ゼミに所属しつつ、同じく文化学部のペレッキア ディエゴ准教授にも助言を受けながら、「能」をテーマに観光との関わりについて研究されていた長塚氏に、大学生活での学びや現在のお仕事についてお話しいただきました。

ゲストスピーカーの長塚 来衣氏
【自身の仕事と就職活動】
「『観光業』」と『舞台関連』の2つの軸を設定し、企業探しを始めました。観光業への関心は、学生時代にレストランで接客アルバイトをしていた経験から生まれました。また、現在の勤務先が早期選考を実施しており、早めに就活対策を進められた点も応募の後押しになりました。舞台関連については、もともと舞台鑑賞が好きだったこともあり、お客様と直接関わる劇場スタッフという仕事に魅力を感じていました。『好きなことを仕事にする』という軸を持つことで、業界を縛られすぎずに余裕をもって就職活動に臨むことができ、エントリーシートの作成もスムーズに進めることができました。」
【現在の仕事と文化学部での学び】
「ホテルは観光に欠かせない業種であるからこそ、文化学部で学んだ京都の魅力や名所に関する知識は、自身の強みとなり自信にもつながっています。また、京都に限らず、どの地域にも文化があると感じており、そうした背景を意識した接客を心がけています。」
【大学生活について】
「2年生まではコロナ禍で活動が制限されていたこともあり、大学生活における一番の思い出は卒業論文です。特に3・4年生の2年間は卒論作成に多くの時間を費やしました。1・3・4年生の3年間は奥野ゼミに所属しながら、ペレッキア先生による能に関する講義を中心に履修し、「京都観光を通じて、古典芸能『能』を普及させることは可能か」というテーマで研究を進めました。能に関する授業を受講することで、単位取得と卒論の質の向上を図るなど、授業の選び方も工夫しました。授業中の先生の何気ない発言が、論文の執筆を進めるためのきっかけになることもありますので、3・4年生は小さなことにも意識を向けて授業を受けることも方法の一つです。」

長塚氏のお話に聞き入る学生たち
続いて行われたClaSP!学生とのトークセッションと質疑応答では、学生から多くの質問が寄せられました。
Q1. 入社前後でのギャップで驚いたことは?
A. 想像していたよりも激務だったことです。レストラン接客の経験はあったのですが、ホテル業務では未経験のことも多く、対応するのに苦労しました。
Q2. 文化学部での学びを生かせたことは?
A. 同期が京都をテーマにカクテルを作った際には、舞妓さんの月ごとに変わる簪の知識を生かせるのではないかと考え提案し、新たな着眼点として評価されました。大学では、自分の好きな分野を徹底的に調べるという姿勢を大切にしてきました。
Q3. 現在の仕事での目標は?
A. レストランでお酒を提供するにあたり、ワインの検定に挑戦したり、試飲会に積極的に参加するなどして、お酒に関する知識を深めたいと考えています。業務が忙しく勉強時間は限られますが、休日に上司と試飲会へ行くなどして学びを重ね、接客にも生かしています。
Q4. 大学生の時に挑戦しておけばよかったことは?
A. 語学学習です。万博開催の影響で外国人のお客様が増えており、英語圏以外のお客様には英語が伝わりにくい場面もありました。そのため、基本的な挨拶やフレーズを学んでおけば、役に立ったと思います。
Q5. 文化学部の授業で特に役に立ったものは?
A. 観光系の授業です。現在は大阪駅の跡地にあるホテルに勤務しているため、お客様との会話の中で鉄道のお話になることもあります。奥野先生のサブカルチャーに関わる授業で学んだ内容が会話のきっかけになることもあります。観光についての講義は特に役立っていると感じます。
Q6. ガクチカ・自己PRを書くうえでのアドバイスは?
A. 企業ごとにエントリーシートの内容を調整することが大切です。たとえば、卒論のテーマが生かせる企業にはその内容を中心に、ホテル業界にはレストランでの接客アルバイトの経験を中心に書くなど、それぞれの企業が求める内容に合わせて書き換えるようにしていました。
イベントの最後には、長塚氏から在学生に向けた温かいメッセージが贈られました。単位取得・就職活動・卒業論文など不安の多い大学生活においても、焦らず自分と向き合う時間を大切にし、自分は何が好きで、何をしたいのかをゆっくり考えたうえで、後悔のない大学生活を過ごしてほしいとのことでした。
丁寧な語り口と実体験に基づいたアドバイスは、参加した学生にとって大きな学びとなる、意義深い時間となりました。