2025.11.21

ブラックホールの影を追って ― MSSLサイエンス実習体験記

京都産業大学理学部では、学生が国際的な研究体験を通じて視野を広げる機会として、イギリス・ロンドン大学付属マラード宇宙科学研究所(MSSL)でのサイエンス実習を実施しています。このプログラムは、ロンドン市内での科学史研修(2日間)、ドーキングでのホームステイ、そしてMSSLの大学院生によるマンツーマン指導を受けながら行われる研究実習(5日間)から構成されています。最終日には、研究成果を英語で発表する機会もあり、科学と語学、異文化交流を同時に体験できるのが特徴です。今年度、実習に参加した前田 雄太さん(理学部 宇宙物理・気象学科 3年次)に体験談を伺いました。

最終日は英語でのプレゼンテーションに臨んだ

渡航とスケジュール

9月4日から14日までイギリスに滞在しました。初日は移動のみで、2、3日目はロンドン市内での科学史研修に参加しました。4日目にホームステイ先へ移動し、5日目からマラード宇宙科学研究所(MSSL)で5日間の研究実習に参加し、最終日に実習の成果を英語でプレゼンテーションしました。

研修で訪れたビックベン
グリニッジ天文台

研究テーマと内容

実習は毎日10時から17時まで。TA(大学院生)と議論しながら研究を進め、合間には研究所の周辺を散歩したり、雑談もありました。ホームステイ先から研究所までは、日本人研究者が送迎してくれましたが、研究所では完全に英語環境でした。
研究テーマは「ブラックホールの性質」です。ブラックホール周囲で光がどのような軌道を描くか、重力の影響でどのように変化するかを調べました。具体的には、ブラックホールのスピン(回転の度合い)や観測者の視線角度を変え、影の形や光の軌道の変化をシミュレーションしました。レイ・トレーシングを用いて画像を生成し、結果を分析しました。

研修を終えて

一人で海外に行くことに不安はありましたが、研究所やホストファミリーの温かさに助けられました。研究者とのつながりは今も続いており、新しい研究にも挑戦しています。この研修の経験は「自分でもできる」という自信につながり、今後の学びや研究に大きな影響があると感じます。
本学では、こうした海外実習や留学の機会があります。小さな一歩でも挑戦すれば、新しい扉が開きます。ぜひ積極的にチャレンジしてください。