2025.11.19

文化学部の学びがキャリアにつながる-内定を得た先輩たちが語る就活体験-

「特別な経験がなくても大丈夫」――先輩たちのこの言葉に、会場に集まった2年生たちは真剣な表情で聞き入っていました。
11月12日、文化学部2年生を対象とした必修科目「文化学部の学びとキャリアB」において、就職活動を終えて内定を得た4年生3人を招いた「就職内定者登壇回」が開催されました。

登壇したのは、国際文化学科の近藤 剛ゼミから鈴木 翼さん、京都文化学科京都文化コースの笹部 昌利ゼミから松本 直大さん、京都文化学科観光文化コースの奥野 圭太朗ゼミから尾崎 百華さんの3人です。それぞれ製造業、航空業界、独立行政法人と、異なる業界に進む予定ですが、自身の経験をもとに、就職活動で意識したこと、苦労したこと、そして文化学部での学びがどのように役立ったかを率直に語ってくれました。

授業の様子

授業の様子

3人それぞれの就活ストーリー

鈴木さんは、ダブルタスクが苦手なので、常に目の前のことに全力で取り組み、就活でも一気呵成で内定を手にしました。「ものづくりへの興味から製造業を志望しました。大学で培った読解力や論理的思考力が、エントリーシート作成や企業研究に役立ちました。企業の求める人物像を掘り下げ、自分の経験と結び付けて表現する――まさに文化学部で鍛えられた力です」と話しました。
松本さんは、教職と就活の両立に苦労しながらも、学生時代に人前で話す経験を積み重ねたことが大きな武器になったと言います。「自分はデスクワークよりも身体を動かすことが好きで、それが就活の軸になりました。この4年間で物事を多角的に捉える力が身に付き、ゼミでは学問研究だけでなく、礼節など人として大切なことも学ぶことができました」と振り返りました。
尾崎さんは、観光社会学を学んだ経験を生かし、独立行政法人で伝統芸能や舞台芸術の振興に携わる仕事に内定しました。「『安定性』『やりがい』『職場の雰囲気』の3つを軸に企業選びをしました。ゼミでのフィールドワークを通じて文化を支える仕事の意義を深く考えられたことが、志望動機の核になりました。今後はダンスサークルでの舞台経験も生かせそうです」と語りました。

後輩へのアドバイス:日常を言語化する力

3人に共通していたのは、「特別な経験がなくても、目の前のことに真剣に取り組み、結果ではなく、その過程を言語化することが大切」というメッセージです。ゼミ活動やアルバイト、サークルなど、日常の学びや経験を自分の言葉で振り返り語ることが、いわゆる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」になるとのことです。
また、自己分析を早めに始めること、大学の進路・就職支援センターを活用してエントリーシート添削や模擬面接のサポートを受けること、インターンシップに参加することの重要性も強調されました。「完璧を目指さず、まず一歩踏み出してみることが大事です」という先輩たちの言葉に、多くの学生が頷いていました。

登壇した文化学部の在学生

登壇した文化学部の在学生

それぞれの就活ストーリーを語った

それぞれの就活ストーリーを語った

生成AIとの向き合い方

さらに近年注目される生成AIの活用についても議論がありました。AIを「壁打ち相手」として自己分析や文章のブラッシュアップや自己PR等のアイディアを得るために使うなどの工夫が紹介される一方で、「AIに丸投げでは自分の思考力が育たない」「個人情報の入力は避けるべき」といった注意点も共有されました。学生たちは、AIと向き合う新しい就活の形にも関心を示していました。

文化学部での学びは、社会で必ず生きる

授業の最後には、「文化学部での学びは社会で必ず生きる」というメッセージが伝えられました。多様な文化や価値観に触れる中で育まれる柔軟な思考力、プレゼンテーション力、そして深まる人間力――これらは、変化の激しい現代社会で企業が求める人材像に直結します。また、文化学部の学びは、就活に役立つだけでなく、ゲームや映画の文化的背景に気付かせてくれたり、多様な人々との会話のきっかけを提供してくれたりと、人生そのものを豊かにしてくれます。
参加した2年生からは、「今、目の前にある学びを大切にしようと思った」「自分のキャリアを考えるきっかけになった」「先輩方の話がとても参考になった、少しずつ準備していこうと思えた」といった感想が多く寄せられました。

文化学部におけるキャリア支援

文化学部では、こうした授業を通じて、学生が早い段階から自分の将来を見据え、学びをキャリアへと結び付ける力を育んでいます。
授業内では、学生広報団体「ClaSP!」が主催する卒業生講演会や、企業と学生が文化を語り合う交流イベント「文化を語り合う夕べ」など、キャリア形成を支援する多彩な学内行事の案内も行われ、学生たちは今後の活動に関心を寄せていました。
文化学部は、学生一人一人が自分らしいキャリアを描けるよう、これからもサポートを続けていきます。