2025.11.10

京都の老舗茶舗「福寿園」訪問 ― 日本茶をオランダへ!―

(国際関係学部  3年次  川西 晏莉)

2025年10月22日(水)、国際関係学部「研究演習Ⅱ」(担当:植原行洋教授)の一環として、京都の老舗茶舗「福寿園」を訪問しました。今回はオランダからの留学生とともに、英語での共同プレゼンテーションを行い、「福寿園ブランドをどのようにオランダ市場へ広めるか」という課題に取り組みました。

福寿園からは「オランダ市場における福寿園ブランド商品の販売を強化するための提案を行う」という課題が提示されました。現在、同社の売上の大半は国内向けで、海外売上はそれほど多くなく、輸出は商社などを使った間接ルートが中心です。今回のプロジェクトでは、単に茶葉を販売するだけでなく、“Fukujuenブランド”としての価値をどのようにオランダに高めるか、また日本茶の文化をどのように現地に伝えるかがテーマとなりました。

この課題に向けて、学生たちは約3週間にわたりオランダ人留学生とグループワークを行い、お互いの視点やアイデアを出し合いながら、英語での発表資料を準備しました。文化の違いを越えて協力し合う過程は非常に刺激的で、マーケティングや文化理解の両面から多くの学びがありました。

訪問当日は、広い敷地に建つ福寿園本社を見学させていただきました。敷地内や建物の周囲にはお茶の木の新緑が美しく、お茶の心地よい香りが漂い、五感で日本茶の世界を感じられる特別な空間でした。長い歴史の中で受け継がれてきた日本茶の製法や文化について丁寧にご説明いただき、実際に現在使用されている製造機械から、今では貴重となった昔の製茶器具まで、普段では目にすることのできないものを数多く見学することができました。

プレゼンテーションでは、福寿園の海外事業担当の方々にもご参加いただき、学生たちの提案に対して質問やフィードバックをいただきました。学生たちは、オランダで開催されるジャパンフェスティバルでの出店やポップアップショップの展開、抹茶とジンをかけあわせた新しい飲み方や抹茶とプロテインを掛け合わせヨガ教室で展開する企画など、多彩なアイデアを発表しました。福寿園の方々からは「学生ならではの視点が面白い」との評価もいただきました。

今回の取り組みでは、日本人にとって身近な日本茶という分野を、マーケティングやオランダの文化的背景(世代ごとの嗜好や価値観など)を踏まえて、どのようにブランド化できるかという新たな視点から考察しました。その過程で、日本茶の持つ奥深さや魅力を再認識するとともに、他国のお茶(中国茶や西欧の紅茶など)との比較を通じて「日本らしさ」とは何かをより深く理解することができました。

今回の経験を通じて、ブランド化することの難しさ、またローカライズすることの大切さを痛感するとともに、「日本の身近なお茶を、もっと誇りをもって世界に伝えたい」という想いが一層強まりました。

最後にこのような貴重な学びの機会をくださった福寿園の皆様に、 心より感謝申し上げます。

福寿園のHP