2025.10.17

中野ゼミで、奈良の歴史文化や和洋折衷の美学に触れるフィールドワークを行いました

文化学部京都文化学科 中野 宏幸 教授の「観光文化演習ⅠB(3年次)」は、10月12日、奈良の歴史文化を体感するフィールドワークを行いました。秋学期の演習では、「2025年の大阪・関西万博を契機として、これからの周遊観光のあり方をどう考えるか」とのテーマの下、奈良や京都でのフィールドワークや有識者とのワークショップを通じ、グループ学習に取り組んでいます。当日は、奈良まほろばソムリエの沖田 拓司氏のご案内の下、奈良ホテルや奈良公園、東大寺や氷室神社を巡りました。

奈良ホテルで藤田氏のお話を熱心に聞く学生

奈良ホテルで藤田氏のお話を熱心に聞く学生

1909年(明治42年)に創業した奈良ホテルは、奈良の伝統と時代の変化を織り込みながら、温かなおもてなしを提供してきています。本館の建築は辰野 金吾氏の設計により、国賓や皇族の宿泊する迎賓館に準ずる施設として誕生しました。「関西の迎賓館」と呼ばれ、和洋折衷の佇まいが魅力を醸し出しています。
奈良ホテルでは、ブランドアンバサダーの藤田 昌宏氏より、ヘレン・ケラーやオードリー・ヘップバーンなど国内外の方々が宿泊したホテルの歴史、上村松園の作品など美術品や調度品、本館玄関を入った空間に広がる約9mの吹き抜け格天井や1922年(大正11年)にアインシュタインが滞在した際に弾いたピアノ、インバウンド旅行者が増加する中での宿泊客の最近の動向などについて説明をいただきました。あわせて、ホテルの仕事の魅力や大学での学びに関するアドバイスをいただくとともに、メインダイニングルーム「三笠」にてアフタヌーンティーのひとときを体験しました。

奈良県庁の屋上から東大寺・若草山方面を展望

奈良県庁の屋上から東大寺・若草山方面を展望

東大寺二月堂にて

東大寺二月堂にて

東大寺では、現存する木造古建築としては世界最大の大仏殿、毎年早春に行われる「お水取り」で知られる二月堂を訪問し、盧舎那大仏(るしゃなだいぶつ)造立の経緯、創建以降の戦乱での焼失や再興、宗教的な厳粛さと地域の季節感が融合した修二会の風習など、奈良の歴史文化を学びました。
また、氷の聖地として知られる氷室神社を訪れました。奈良時代に平城宮に氷が献上されたことに由来し、毎年5月には献氷祭が行われています。清少納言の枕草子の記述からは、平安貴族が夏に氷を用いて涼を楽しんでいた様子がうかがえます。ならまちを中心に、創意工夫を凝らしたかき氷を提供するカフェやレストランが増えており、歴史・文化・食が融合した奈良の新たな食文化として注目されています。

奈良ホテルでアフタヌーンティーを体験

奈良ホテルでアフタヌーンティーを体験

今回のフィールドワークでは、奈良公園界隈をウォーキングする中で、インバウンド旅行者の増加や市場環境の変化に触れつつ、歴史文化の奥深さや地域の課題を肌で感じることができました。こうした体験を通じて得られた気付きや実感を生かし、美的感性を磨きながら、これからの国際交流や観光のあり方を考えてほしいと思います。