10月10日(金)、2025(令和7)年度第2回全学FD/SD研修会を開催しました。
京都産業大学では、学修者本位の教育の実現を目指し、さまざまな取り組みを行っています。
第2回全学FD/SD研修会は、「学生の主体性を促す授業運営 ~学生の視点から事前・事後学修等を考える~」をテーマに教育支援研究開発センター副センター長からの導入説明と本学教員からの話題提供、教員・職員・学生でのグループワークを通じて、事前・事後学修をどうすれば学生が発展的に考え、主体的に取り組むことができるのか、どのような働きかけが有効なのかを考える機会にしました。
開会にあたり、佐藤教育支援研究開発センター長より挨拶があり、その後、国際関係学部 三田 貴 教授(教育支援研究開発センター副センター長)が導入説明を行いました。導入説明では、令和7年度春学期末に実施した学修実態調査の内容から、学生がシラバスで重視する項目(評価方法・授業概要・授業形態等)、授業外学習時間と余暇・アルバイトとのバランス、事前・事後学修をする・しない理由等の分析結果を説明しました。
その後、経済学部の川越 吉孝 准教授と情報理工学部の平井 重行 教授から話題提供がありました。
川越准教授からは、授業後の復習を促す事後学修の運用が紹介されました。具体的には、対話を促す「教員・学生間の授業に関する対話」はセメスター中に実施し、課題は2週間先に提出させ、1週目前に質問を促す設計、文章での提出とすべての課題に短いコメントを返す運用、出席との連動など、学びをやり切るための仕組みの紹介がありました。こうした実践により、科目での学びの定着が進む一方、教員側の負担や運用可能な授業の範囲、教員間での共通認識づくりといった課題も率直に共有されました。
平井教授からは、Cosense(旧Scrapbox)やDiscord等を活用した事前・事後学修の設計が紹介されました。タイピング練習の継続記録、読書・動画視聴の要約提出、レポートでの生成AI活用を許容したうえでプロセスを明示させる取り組み等を通じ、学生同士が相互に参照し合い、学び合う環境を構築している事例が示されました。履修終了後もコンテンツを閲覧・編集できるため、学びの蓄積・可視化にもつながっていることが報告されました。
その後のグループワークでは、教員・職員・学生の混合グループで、①各立場の認識・気づきの共有、②教員と学生の課題・ギャップの抽出、③ギャップを埋める具体策について、対話を行いました。各グループからは、『事前・事後学修に割くべき時間の「大学の想定」と「学生の実情」にギャップがあること。』『成績の点数だけではなく「どこが良くて、何が不足しているのか、また、その差は何か」を示す具体的なフィードバックが必要。』『文系・理系やカリキュラムの違いによる受講実態の差があり、必修が多い理系ではすでに時間割に科目が自動登録されているためシラバスを細かく見ない傾向がある。』など、全体共有がありました。
当日は、対面で32名が参加しました(加えて、オンデマンド視聴申込者71名)。参加者からは、「学生を含めたグループワークによって、大学での学修に対する教員と学生の意識の差を目の当たりにすることができてよかった。教職員にとって今後の授業設計や制度設計にとても役立つ意見交流ができた。」「フィードバックが大切だと思いました。」「学生も教員も、持てる時間が足りていないのが現状だとわかりました。」といった声が聞かれました。
教育支援研究開発センターでは、今後も本学教職員の教育の質保証への知識向上の一助となるよう、継続して研修を企画していきます。