理学部物理科学科では4年次生の卒業研究として専門分野の研究に取り組んでいます。2025年度のハドロン物理学特別研究では宇宙線ミュー粒子を用いた構造物の透視(ミューオグラフィ)に応用するための放射線検出器の開発を行っています。
学生は4月から放射線検出の基礎を学内の実験室で学びました。5月からミューオグラフィ用の放射線検出器の試作機を製作し、7月に大阪大学・京都大学との共同研究として兵庫県SPring-8での性能評価試験を行いました。開発した検出器に電子ビームを照射し、時間や位置の測定精度を評価しました。特別研究では、さらに宇宙線を用いて検出器改良用のデータを取得し研究開発を進めて、卒業論文として仕上げようとしています。学内での普段の実験とは異なり最先端の研究施設に触れることで、様々な学びを得られました。
卒業研究成果らのコメント
内田 佑亮さん
今まで経験したことのない規模での実験はとても有意義な時間になりました。初めて見た実験装置やレベルの高い研究者との関わりには感動しました。この経験を今後の生活に役立てていきたいです。
山品 拓也さん
最先端の研究施設で研究する貴重な体験ができて、物理を学んできて良かったと感じました。また、普段の生活のでは出会うことのない環境を知れたことは私の大きな財産になりました。
用語解説
ミュー粒子:素粒子の一つであり、電子と似た性質を持ちますが、質量が電子よりも約200倍大きい粒子です。
宇宙線:宇宙空間を飛び交う高エネルギーの粒子(1次宇宙線)や、1次宇宙線が大気と衝突して生じた様々な粒子(2次宇宙線)があり、ミュー粒子は2次宇宙線として地表に飛来します。
SPring-8:兵庫県西播磨にある電子加速器施設です。ここでは原子核、ハドロンやクォークの研究を行なっています。