2025.09.05

教育プログラム支援制度「学内報告会」を開催しました

令和7年8月5日(火),教育プログラム支援制度学内報告会(令和6年度採択プログラム)を開催しました。


教育プログラム支援制度は,本学の教育の質向上を目指し,授業科目の開発・運営,正課の授業に係る基礎調査や試行的取組等のFD活動に対する支援を行う制度です。本制度では,特定の科目,学部等での取組が他の科目,他学部でも活用できるといった全学展開が可能な試行的,発展的な活動を支援することにより,全学的な教育力向上に資するような波及効果のある取組を支援することをねらいとしています。


この学内報告会は採択プログラムの取組みの報告および成果の発表の場として,本制度の支援を受けた教員から,報告いただくものです。

令和6年度採択プログラムの取組みについて、3名の先生から、このプログラムを実施して良かったこと、また反省点や課題、今後の展望について、わかりやすく報告いただきました。


理学部 齊藤国靖教授 
テーマ:「サイバー空間での共同作業を実現するプラットホーム型教育」

理学部専門教育科目「統計力学A・B」をベースに「特別研究」への教育を中心にプラットホームとなるサーバ1台を導入・活用したことで、受講生一人一人と同じ画面を共有しながら、プログラミングや作図、文書作成の指導を効率的に行うことができた。また、得られたデータを共有化できるようにデータベース化したことで、そのデータを他の教員や他の科目で活用できるようになったことから、本取組みの意義は大きい。

齋藤先生の報告

情報理工学部 棟方渚教授 

テーマ:「ユーザの行動変容を促す疎密制御システムの大規模実証実験」

数千人規模で体験してもらえる疎密制御システムおよびWebアプリケーション「Enre」の開発、そしてフィールド実証実験を実施することが出来た。申請代表者(情報理工学部)研究室の学生と共同申請者(生命科学部)の研究室の学生が協働して作業を進めていくことで、異なるバックグランドを持つ複数人での情報共有は、精神的および専門技術的な側面において困難さをお互いに理解することができ、今後、社会に出てから直面しうる課題について、体験をもって取り組むことができた。

棟方先生の報告

生命科学部 佐藤賢一教授

テーマ:「京都産業大学ハテナソンセミナーの教育成果と発展施策」

高校から大学への学びを円滑に移行するには、学生が「考える力」を身につけることが重要である。その力を育む初年次教育科目(共通教育科目)として「ハテナソンセミナー」を開講し、本制度ではその過年度実績の取りまとめや公表に関する提案が採択された。問いづくりの理論と実践を紹介する書籍『ハテナソンの本:「問いづくり」への旅』は、クラウドファンディングにより出版を実現。さらに今年度中には、ハテナソンセミナーのティーチング/ラーニングガイドブックを刊行予定であり、他科目への展開や学外での活用も期待されている。

佐藤先生の報告

当日は、在間敬子学長をはじめ、25人の教職員の参加があり、報告された先生への質問も活発に行われました。


後半のディスカッションでは、三田貴副センター長の進行で、教育プログラム支援制度自体についても教育をどうやって拡充していくのか、この制度をどうやって活用していくのかについても言及しながら、自由な意見交換が行われました。


採択プログラムの実行は通常の教育・研究に加えてエフォートも大きかったのではないかとの質問に対して、棟方渚先生からはシミュレーションではなく実証実験をしたことに意義が大きく、時間も労力もかかったが、何より関わった学生が楽しかったという思いを伝えてくれて、学生自身の学びがあったとの説明がありました。


また、佐藤賢一先生への学習成果実感調査の回答率の高さの理由についての質問に対しては、背景には「ハテナソンセミナー」を履修する学生は面白がる学生が多いという印象がある。工夫は1回でも授業を欠席すると授業と授業の繋がりがわからなくなるため毎回の出席を促していることと毎回の授業で5分程度の時間を取ってリフレクションペーパーを課しており、学習成果実感調査は必ず授業内で10~15分の時間を取って回答してもらっていることの説明がありました。

ディスカッションの様子

その他多くの質問に対して、発表者からの詳細な説明があり、それぞれの取組みがより深堀りされました。参加者に各発表の取組み内容について参考になった点や印象に残った点などのコメントを記入していただき、各申請代表者にフィードバックしました。
教育プログラム支援制度自体の課題や今後に向けた修正点等について、さらなる制度の活性化を目指し、検討を重ねていきます。