7月30、31日、8月1日の3日間、京都産業大学附属高等学校 KSUコース理工系 2年生の生徒31名を対象に、理系分野の講義や実験を行う「サイエンス講座」を行いました。
この講座は京都産業大学のキャンパスで、情報理工学部、理学部、生命科学部の教員が高大接続授業の一環として毎年実施しているもので、理系学部への進学希望者に対して進路選択を踏まえ、1人2学部の講座を選択し、授業に参加しました。
実施内容
情報理工学部(7月30日)
- 奥田 次郎 学部長「学部紹介」
- 川村 新 教授「組込みハードウェア設計入門」 「音声信号処理システム入門」
初日の情報理工学部の授業では、川村 新 教授が「組込みハードウェア設計入門」と「音声信号処理システム入門」の講義と実習を行いました。TVやPCなど、様々な電化製品に搭載されているFPGA(プログラム可能な論理ゲートで構成される大規模集積回路)を用いて、ボードにあらかじめ組み込まれたソースコードを解読し指定の音階のブザーを鳴らしたり、LEDを点灯させたりする実習に取り組みました。続いて、人間の聴覚の特性や音声エフェクトなどリアルタイム音声信号処理システムの基本を体験的に学習しました。FPGAボードの操作を通じて成果を出した生徒たちからは、達成感による笑顔が見られました。授業では、実習内容を難しく感じている生徒も見られましたが、生徒同士が教え合いながら実習を進め、ティーチング・アシスタント(TA)も積極的にサポートしていました。
生命科学部(7月31日)
- 津下 英明 学部長「学部紹介」
- 木村 成介 教授・本橋 健 教授「植物のDNAを見てみよう!」
- 川根 公樹 准教授・三嶋 雄一郎 教授「細胞を顕微鏡で見てみよう!」
2日目の生命科学部の授業では、前半に「植物のDNAを見てみよう!」というテーマで、植物からDNAを抽出する実験を行いました。植物を液体窒素とともに乳鉢で粉砕し、マイクロピペットで溶液を加えた後、遠心機で不純物を分離させるなどの工程を経て、DNAを抽出し実際に目で見て観察しました。実験の途中には、液体窒素を使ったデモンストレーションや、DNAを取り出す仕組みについての説明もあり、生徒たちは興味深そうに話を聞いていました。
後半は、「細胞を顕微鏡で見てみよう!」をテーマに、野菜や果実など身近な素材を薄くスライスし、様々な生物の細胞を顕微鏡で観察しました。キャベツやレタスなど葉物の観察に加え、卵の殻の膜やしらすなどの珍しい素材を観察する生徒もいました。細胞がうまく見えたときには、生徒同士で共有し合い、歓声が上がる場面も見られました。
理学部(8月1日)
- 牛瀧 文宏 学部長「学部紹介」
数理科学科
- 牛瀧 文宏 教授「テトロミノから始める組み合わせ幾何学」
- 田中 立志 教授「平方剰余」
物理科学科
- 下村 晋 教授「簡単な光学素子を使って調べる光の性質」
- 鈴木 信三 教授「気体の断熱膨張による温度変化」
- 新山 雅之 教授「放射線とその遮蔽」
- 岩下 靖孝 教授「分子運動論の“観察”」
宇宙物理・気象学科
- 佐川 英夫 教授「気象物理学実験 – 入門編」
- 米原 厚憲 教授「宇宙観測データ解析入門」
- 岩下 靖孝 教授「分子運動論の観察」
最終日の理学部では、学部長である牛瀧先生による学部紹介から始まりました。
その後、数理科学科による「テトロミノから始める組み合わせ幾何学」と「平方剰余」をテーマにした授業が行われ、実際の大学授業と同様の形式で進められました。高校の授業とは異なる進め方に触れ、大学での学び方への理解が深まった様子でした。
後半の「物理科学科」と「宇宙物理・気象学科」の時間では、参加者は6つのテーマの中から興味のある2つを選択し、それぞれのテーマに沿った体験型授業に参加しました。授業は、実際に在学生が日常的に使用している実験室や観測機器、解析ソフトなどの専門設備を活用して行われ、大学での学びの雰囲気を肌で感じることができました。
参加した生徒からは、「実際の授業を体験できて進学後のイメージが湧いた」「先生との距離が近く、質問しやすかった」「設備が整っていて、学びやすそうな環境だと感じた」などの感想が寄せられました。
大学ならではの学びや雰囲気を体感する、充実した一日となりました。
生徒からは「大学生らしい専門的な授業が受けられて楽しかった」、「京都産業大学でしかできない研究ができると分かって、より勉強に熱が入ると感じた」、「少人数形式で実験できたことで教授の方とたくさんお話ができて面白かった」などの感想が寄せられました。