初年次教育の一環として開講されている共通教育科目「京都産業大学と京都を知る」では、京都産業大学の学生としての自分を見つめ直し、これからの学びを自分の意思で進めていくための土台をつくることを目的として開講しています。京都という街の歴史や文化、産業などを知ることで、「この大学で学ぶ意味」を主体的に考えるきっかけにもなります。今回の授業では、「第5回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を受賞した、開発試作品や3D臓器モデルを製作するメーカーである株式会社クロスエフェクトの代表取締役 竹田 正俊 氏をゲストにお迎えしました。
(学生ライター 現代社会学部3年次 町野 航汰)

授業冒頭で、竹田氏は京都商法の特徴を「牛の涎(よだれ)」と比喩表現し、事業がどれほど細くなっても永く続くことが京都の商いの本質であると語られました。また、企業が生き残るためには「お客様の意見を聴く」ことが重要であるとし、自身の事業の使命や存在意義に絡めた話を展開されました。
起業という第3の選択肢を
授業の中盤では、竹田氏が感銘を受けた経営者の言葉を引用しながら、学生に「起業という選択肢を持ってほしい」と語りました。そして、ピーター・ドラッカーの「組織で成果を上げるには『問題』ではなく『機会』に焦点を当てる。」という言葉をモグラたたきに例えて説明されました。「社長の仕事は問題を解決することだけではない。モグラたたきに熱中してしまうとチャンスを逃してしまうことになる。問題を解決するだけではプラマイゼロになってしまう」と述べ、「圧倒的当事者意識(物事に対して100%自分に責任があるという気持ち)を持ち、主体的に生きると、人生は途端に面白くなる。」とも語られました。
タイムマネージメントの重要性
授業の終盤では、「人生はたった3万日しかない。時間を大切に使ってほしい」と学生にメッセージを送られました。ソフトバンク孫 正義 社長の「自分の夢も人生に対するビジョンも明確に持たずに、ただ生きていくために、給料をもらいに行く。『現状仕方がない』と言っている間に人生はあっという間に終わる」という言葉を引用し、残りの時間を意識して生きることの重要性を強調されました。さらに「時間は過去から来るのではなく未来から来る」という意識改革を促し、「未来に点(目標)を置くと、そこから階段(やるべきこと)が降りてくる」という逆算的思考(バックキャスティング)の視点を学生に共有されました。

授業を通じて、3年次になった今、身に染みる言葉が多くありました。大学生活は今までの学習環境とは異なり、学びたいと思ったことを納得のいくまで学ぶことができる環境です。しかし、ただ流されるままに生活を送っていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
講義中に語られた「起業は『できるかできないか』ではなく、『やるかやらないか』である」という言葉は、起業だけに限らず、私たちの日常生活すべてに通じるものだと感じました。
これから大学生活を始める人も、今まさに大学生活を送っている人も、「何をしたいか」を意識しながら、充実した学生生活を送ってほしいと思います。