2025.06.27

中野ゼミで、今井町の歴史的町並み保全・活用と藤原宮跡の世界遺産登録を目指す取組を学びました!!

文化学部京都文化学科 中野 宏幸 教授の「観光文化演習ⅠA(3年次)」「観光文化演習ⅡA(4年次)」は、6月22日、奈良県橿原市今井町の歴史ある町並み地区を訪問するとともに、世界遺産登録を目指す藤原宮跡において、歴史文化的価値の保全・活用の考え方や課題を学ぶフィールドワークを行いました。

はじめに訪問したのは、1903(明治36)年に高市郡教育博物館として建設された今井まちなみ交流センター華甍(はないらか)です。橿原市長の亀田 忠彦氏より、橿原市の歴史文化の保全と活用に向けた熱い思いを語っていただきました。また橿原市観光協会常務理事の松井 昌宏氏から、橿原市の観光の目指す姿とあわせて、海外への発信から雑誌・SNSまでの幅広い分野にわたる「橿原観光PR大作戦」の取組を紹介いただきました。

今井まちなみ交流センター夢甍にて。中央は橿原市長の亀田 忠彦氏

今井まちなみ交流センター華甍にて。中央は橿原市長の亀田 忠彦氏

今井町の視察では、風情溢れる町並みから、長い歴史を経て大切に守られてきた伝統と人々の生活を体感しました。このエリアは全国でも最大規模の重要伝統的建造物群保存地区であり、町の佇まいや建物のすべてがみどころです。町への出入口はかつて限られた場所に設けられており、敵の侵入に備えて設計された屈折した街路は、まるで迷路のような構造となっています。海外にはライブ配信により橿原市の観光文化が紹介されており、「わたしの幸せな結婚」などの映画やNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」のロケ地としても活用されています。室町末期に創建された稱念寺(しょうねんじ)では、寺を中心に発展した寺内町としての町の歴史を学びました。

橿原市長の亀田 忠彦氏の説明を熱心に聴く学生

橿原市長の亀田 忠彦氏の説明を熱心に聴く学生

稱念寺にて

稱念寺にて

次に訪れたのは、日本初の本格的な都城で、中央集権国家の成立を示す重要な遺跡である藤原京です。約1300年前に築かれた藤原京は、日本の国づくりの原点とも言える場所です。世界遺産登録を目指し、2025年1月にユネスコに「飛鳥・藤原の宮跡」として推薦書が提出されており、本年秋には、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスの調査が行われる予定となっています。その価値が国際的にも評価されようとしている今、歴史の継承や文化財の保護に関心を寄せ、今の世代に何ができるのかを考える契機としていくことが大切です。橿原市観光協会の松井 昌宏氏より、遺産の保全の意義や課題についての話を伺い、創造的かつ持続可能な取組への理解を深めました。

藤原宮跡を視察する学生

藤原宮跡を視察する学生

学生からは、次のような声が聞かれました。

  • 今井町の木造の町家のなかには飲食店や歯医者さんもあった。大半の町家が江戸時代の姿のままで、普段目にすることのない町並みが続いており、タイムスリップしたような気持ちになった。
  • 今井町では観光客数が適度で、落ち着いて楽しむことができた。地域の方との距離感が近く、素敵な街だった。季節の良いときに、また来たいと思った。
  • 藤原宮では、目に見えない地下にある遺産の価値を多くの人々にわかりやすく伝える難しさを感じた。課題を少しずつでも解決して魅力や価値を伝えていく必要性を強く感じた。
  • 広くて開放感を感じることのできる藤原京跡では、昔の移動手段であった馬でまわることができれば、かつての雰囲気を感じとることができるのではないかと思った。
  • フィールドワークを通して、集客や世界遺産登録に向け、さまざまな方面から求められている課題を考え抜いて取組をされている熱意をすごく感じた。

日本の成り立ちを伝える貴重な遺産の価値について理解を深めつつ、世界的な視野から文化財を保全・活用していく考え方を育んでほしいと思います。