文化学部京都文化学科 中野 宏幸 教授の「観光文化演習ⅠA(3年次)」では、6月15日、街づくりへの想いを大切に育むノーガホテル清水京都を訪問するとともに、元・藤平陶芸の登り窯において、400年以上にわたる京焼・清水焼の歴史と文化的価値を学ぶフィールドワークを行いました。
2022年4月に東山五条に開業したノーガホテル清水京都のコンセプトは「地域との深いつながりから生まれる素敵な体験」です。この考え方を大切にし、未来志向の街づくりを見据え、価値創出に取り組んでいます。客室には、京都の陶芸家やアーティスト、企業と連携したオリジナル作品を設え、音楽・アート・食など多彩な体験を通じて、宿泊者が京都の多様な魅力に触れられる機会が提供されています。
ノーガホテル清水京都のルーフトップバーにおける全体写真
ロビーにはベーカリーとカフェゾーンが併設されており、宿泊客と地元の方々をシームレスにつなぐように設計されています。総支配人の大川 和哉氏からは、ホテルが大切にしている理念や、多様なニーズに応えるおもてなしの考え方についてお話を伺い、地域に根ざした創造的な取組への理解を深めました。
東山の伝統文化を深く知るという面では、京都市内に現存する中でも最大規模を誇り、操業当時の登り窯と作業場の姿が残されている藤平窯を訪問しました。この登り窯は、個人で窯を所有しない陶家が陶磁器を焼成した共同窯であり、1968年まで供用されていました。五条坂陶点睛かわさきの8代目当主・五条坂陶栄会会長の河崎 尚志氏のご案内により、時代に応じた清水焼の作風の変化や登り窯の機能・役割について学びました。
藤平窯で河崎氏の説明を聴く学生
東山区役所では河崎氏より、インバウンド旅行者の増加などの観光を取り巻く状況の中で、誰もが安心して観光を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」のまち・東山の実現を目指し、東山のコミュニティが一体となって取り組んでいる「京都・東山観光おもてなし隊」の活動について話を伺いました。
ノーガホテル清水京都でのランチ
学生からは、「ノーガホテルでは、最近は外国人宿泊者が全体の約九割を占めていると伺い、その多さに驚いた。客室には伝統工芸を取り入れた家具や食器が設えられており、細部にまでこだわるおもてなしの姿勢が感じられた」「ノーガホテルが大切にしている価値観や、地域のお祭りへの参加など地域との絆を深める取組についてお話しを伺い、新たな視点や学びを得る貴重な機会となった」「東山おもてなし隊の活動や今後の取組に関心を持った。その活動の一環として、東山地域のトイレの有無や協力店舗をまとめた資料が提供されており、観光客にとても役立つと感じた」「登り窯を実際に間近で見て、使用法や歴史的背景を聞くことで理解を深めることができた」といった声が聞かれました。
地域の歴史や文化が持つ価値、そしてそれを支える地元コミュニティの取組に関心を深め、これからの時代を見据えた視座を育んでほしいと思います。