2025.06.20

生命科学部の学生らが梅の収穫と梅干作りを学びました

生態系サービス研究センターではミツバチがもたらす多様な「生態系サービス」に着目し、持続可能な社会の実現と地域社会への貢献を目指しています。
梅もまた、ミツバチと深いかかわりがあり、古くから日本の農業・文化・景観に深く根ざした農作物です。
和歌山県みなべ・田辺地域の「梅システム*」は、2015年に世界農業遺産(GIAHS)として認定されました。この地域では、梅林と薪炭林、畑、ため池、石垣などが連携した伝統的農業が長年にわたって継承されており、多様な生き物と人の暮らしが共生する里山生態系が維持されています。

2025年6月10日には、たかだ果園様、ならびに、みなべ町のご協力のもと、梅の収穫体験を行い、高橋研究室、三瓶研究室の学生ら7名が参加し、梅の収穫と梅干し作りについて学びました。

今回、学生の学びにご協力頂いた、たかだ果園様は、南高梅発祥の農園であり、南高梅の母樹を守りながら有機栽培に力をいれ、環境に配慮した農業を実践しています。

収穫体験に先立って、収穫の手順や使用する道具、収穫した梅を傷つけないように扱う注意点のほか、たかだ果園さまで実践されている土づくりや南高梅についてもお話を伺いました。

梅は、完熟し、自然に落ちたものを集めます。体験させて頂いた梅畑は斜面に広がっており、畑全体に青いネットを敷かれ、落ちた梅が傷つかないように保護されていました。多くの梅は、斜面の下まで転がって集まる工夫がされていますが、一部は梅の樹の下に残ります。学生たちは梅に傷がつかないよう、丁寧に優しく扱いながら、斜面に残った梅を拾いつつ斜面を下り、斜面下に集まった梅も拾い集めました。

収穫後は作業場に移動し、収穫した梅を洗浄して大きさごとに分ける選果作業、水に漬ける作業を見学しました。たかだ果園さんでは、農薬などを使用していないため、梅の実に虫がつくことがありますが、20~30分間、水に漬けることで、化学的な処理をすることなく、虫を駆除しています。

最後に、水に漬け終わった梅を塩漬けにする作業を体験させて頂きました。梅のサイズごとに、深さ2m近いタンクに、梅と塩を層状に重ねて均等に漬かるように、梅と塩を交互に入れて漬け込みます。梅が入ったコンテナも塩も20㎏近い重さがあり、学生らは額に汗をかきながら、丁寧に作業していました。

参加した学生のうち、4年生の久下愛実さんは「収穫したての梅を食べさせて頂きましたが、とても印象的でした。青梅は酸っぱく、完熟に近づくほど甘く桃のようだった。冷凍すると再びすっぱくなってしまうという、梅は不思議なものであり、様々な顔を持つ梅にさらに関心が高まりました。」とコメントしました。

現地を実際に訪れ、地域の風土を感じながら梅の収穫や加工手順を丁寧にご指導頂くことで、学生らは多くの学びと気づきを得て、農業の重要性についてより深く考える契機となりました。

梅収穫の様子

梅収穫後の記念撮影
塩漬けされた梅

紀伊民報6月13日付に掲載

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