2025.06.16

東山を巡る状況を多面的に読み解き、学びを深めよう!!~京都文化フィールド演習(中野 宏幸教授)報告~

文化学部京都文化学科 中野 宏幸 教授の「京都文化フィールド演習N」は、1年次生を対象に、京都の歴史や伝統文化とあわせ、地域の産業や生活、ヒトの流れやインフラの機能、地域を支える仕組みなどを自分で実際に見て、聞いて感じとり、「京都」への理解を深める授業です。6月7日には、訪日外国人旅行者が増加している東山地域において、東山区役所のご協力の下、建仁寺と六道珍皇寺並びに区役所への訪問と街歩きを通じて、東山地域の歴史文化や観光を巡る状況や取組みを学ぶフィールドワークを行いました。

六道珍皇寺で「水占い」にトライ!中央は、住職の坂井田 良宏師

六道珍皇寺で「水占い」にトライ!中央は、住職の坂井田 良宏師

建仁寺では財務部長の浅野 俊道師から、天台・密教・禅の三宗兼学の道場として建立された創建時の状況や禅の真髄を体現する道場となった寺の歴史、文化財の価値やそれを発信する観光との関わり合いについて講話いただきました。また六道珍皇寺では、住職の坂井田 良宏師より、寺の歴史とあわせて、冥界との接点である「六道の辻」に位置する寺の位置づけ、小野篁が六道珍皇寺の井戸より現世と冥界を往還していた伝説、先祖の亡霊・精霊を迎える「六道まつり」の行事について、説明をいただきました。

建仁寺で財務部長の浅野 俊道師の説明を熱心に聞く学生

建仁寺で財務部長の浅野 俊道師の説明を熱心に聞く学生

東山区役所の中村 史氏の説明を聞く学生
東山区役所の中村 史氏の説明を聞く学生

東山区役所においては、地域力推進室の中村 史氏より、2005年9月に地域の社寺・企業・団体等が主体となって設立された東山「観光・交通・環境」協力会議の活動の説明がありました。東山では「観光」「交通」「環境」に関わる課題解決、魅力発信と活性化に向け、この会議を中心に、交通誘導員の配置、東山観光といれの設置、散策マップの配布などの取組が進められています。あわせて、街を支えるボランティアの活動として、ゴミを拾って東山のまちをきれいにするボランティア清掃やイベント企画などの取組の紹介がありました。

学生からは、今回のフィールドワークについて、次のような声が聞かれました。

  • まちあるきをして強く感じたのは観光客の多さであり、東山の建造物や施設にたくさんの魅力を感じ取っているからだと思った。
  • どのような過程を経て、今の寺になったのかを詳しく知ることができた。お寺と周辺地域との関わりの変化を知ることができてよかった。
  • お寺や庭の魅力の伝え方や観光客が求めているものが、時代ごとに変化しており、興味深いと思った。
  • 東山区役所では、問題が見えていても、可能な取組を地道に続けていかなければならない大変さと難しさを感じた。機会があれば、ボランティア活動に参加してみたいと思った。
  • 区役所の方の話をうかがうことができ、これまでとは違った視点から観光の実体を知る貴重な体験だった。

街の状況の変化や息づかいに接しながら、これからの時代を見据えた街のあり方について関心を深めてほしいと思います。