2025.06.11

宇宙の魅力を伝えるということ~キャリア実習を通じて~

お話しを伺った(左から)高森 碧さん(理・宇宙物理・気象学科・3年次)島田 泰槻さん(理・物理科学科・3年次)

理学部の学生を対象にした、鳥取市にある「さじアストロパーク」にて実施された4日間のキャリア実習に参加した8人のうち、代表として2人の学生にお話を伺いました。

(学生ライター 理学部2年次 濱口 志保)

質問内容は次の3つ、①「さじアストロパーク」でどのような実習を行ったかについて、②実習で印象に残っていることについて、③実習が現在の学びにどのように役立っているかについて質問しました。1つ目の質問はどのような実習を行ったかについて。まず、学生たちは現地に行く前に事前学習をしました。プラネタリウムや観望会の天体解説の資料を作成し、星座の案内を考えたり、観望会で見てもらう天体の選定をしたりしました。「さじアストロパーク」でのキャリア実習は全部で4日間。1、2日目は、天文台の業務を体験したり、出前観察会のシナリオを自分たちで考えたり、それをもとに観察会を行ったりしました。3日目は小型望遠鏡による星空解説や翌日のプラネタリウム上映の準備をしました。島田さんは解説するにあたり、自分の声を録音し、その声を繰り返し聞いて、お客様が一番聞き取りやすくて楽しめる話し方を模索してきたそうです。4日目は、3日間で得たものを生かし、集大成として一般のお客様を対象にプラネタリウムの投影と解説を行いました。

また、実習の中で、天体観察会やプラネタリウム上映に必要な、ファインディングチャートを用いて天体を見つける方法を学びました。これは、沢山ある天体の中から目印となる星を順に追っていくことで目標の天体にたどり着くというものです。プラネタリウムでは目印の天体を次々にポインターで示していくのですが、そのポインターの動かし方にもコツがあります。ポインターはお客様の視線の誘導になるので、ゆっくりと、より自然に動かす必要があります。高森さんは、「練習の時はうまくできても本番になると緊張して動きが速くなってしまったので難しかった」と話していました。

2つ目の質問は、実習で印象に残っていることについてです。高森さんは、施設内のコテージにある天体望遠鏡を夜に自由に動かして天体の写真を撮ったことが印象に残っているそうです。本学の荒木望遠鏡の制御は、モニターをクリックするだけで天体を導入できますが、さじアストロパークでは、制御卓のボタンの操作も必要なため、操作がより複雑だったと振り返ります。

最後に、実習が現在の学びにどのように役立っているか尋ねました。島田さんは、「話し方の練習を積み重ねたり、プラネタリウムの発表でお客様が喜んでいる様子を見たりしたことで、人前に出て話すことに自信が持てるようになった」と話していました。また高森さんは、「プラネタリウムの観客の多くが子供たちだったことから、子供たちが宇宙のことをどれくらい知っているのかが分かった」と話していました。以前は子供たちに宇宙のことを伝えるのが難しいのではと感じていたそうですが、今回の活動を通して、どのようにして伝えればよいか具体的に想像できるようになったといいます。
このように、学生たちは本物のプラネタリウムで解説するという体験をしてきました。最後にお二人から「将来、学芸員になりたい方や熱意のある方、世の中に出る前に予行練習がしたい方は、ぜひ参加してみてください」というメッセージをいただきました。

私は、取材時のお二人の真剣さや熱意から、実習を通じてリアルな現場を経験したのだろうと感じました。高森さんは、本学の神山天文台の天体観望会にて「さじアストロパーク」の方とお会いしたそうです。このように大学の外へ出て活動すると、人脈も広げられることを知って感動しました。