ゲストスピーカー「株式会社Ⅿプロテクト」代表取締役の藤木 南輝人氏
経済学部専門教育科目である「演習Ⅱ」(担当:イケダ マリア准教授)について、ゼミのゲストスピーカーとして、本学を2024年3月に卒業し、現在は京都の幅広いエリアで警備と清掃を行う総合ビルメンテナンス会社である「株式会社Ⅿプロテクト」代表取締役の藤木南輝人氏をお招きしました。受講生にとって23歳という若さで起業した藤木氏の経験談は進路について、深く考える機会となりました。
(学生ライター 法学部 3年次 山川 諒大)
藤木氏は、初めに事業立ち上げの経緯について語られました。きっかけは清掃業を営む社長から事業承継の提案を受けたことでした。当時、起業を考えていた藤木氏に対し、警備業を引き継ぐことを提案されたそうです。
清掃業であれば、そのまま事業を続けることができましたが、藤木氏は「警備業は技術が進化してもなくならない」と考え、京都府公安委員会の許可を得て、「株式会社Ⅿプロテクト」を設立しました。
若者が事業を立ち上げると、挑戦を称賛されるイメージがあるかもしれませんが、現実は厳しいものでした。
警備業界では従業員の平均年齢は60~70歳で、当時23歳の藤木氏は異例の若さでした。営業に出ても、若さを理由に「任せられない」と言われる日々が続きました。それでも、藤木氏は諦めませんでした。
年齢を変えられないなら、あえて老けて見えるように振る舞うなどの工夫をし続けました。その際に、常に大事にし続けたのは「メンタル最強の自分であり続けること」だったそうです。「メンタル最強」であり続けることで、挫折を経験しても志は折れることはなく、多くの困難を乗り越えた結果、「株式会社Ⅿプロテクト」は設立からわずか1年で社員75人以上を抱えるまでに成長しました。
続いて、藤木氏と学生との間でディスカッションが行われました。藤木氏から「会社に入る際に優先すること、会社でのやりがいとはなにか」と問われた学生たちからは、「残業時間が少ない」、「転勤が少ない」、「成長できる環境」という声が上がりました。これに対して、藤木氏は自分に合う会社を選ぶ際に大事にしてほしいことを2点挙げました。
1点目は「自分の軸を決めること」、2点目は「会社に対して求めることを明確にすること」です。この2点が一致していれば、長く働き続けるモチベーションに繋がると語りました。
質疑応答では、「起業は勇気が必要だと思うが、なぜ挑戦できたのか」という質問に対して、藤木氏は「自分の好きなことを実現する手段として起業を選んだ。」と答えられました。
最後に、就職先を選択する際は「自分が生きていく上で大事にしている軸」とその会社が合っているかを深く考えてほしいと語り、例えば、「安定・安心できる会社を選ぶ」というのも立派な軸であり、自分が重要視している価値観にマッチする会社を選ぶことの重要性を強調しました。
若い実業家である藤木氏の話を聞くことは非常に貴重な経験でした。新入社員がすぐに辞めてしまうこの時代に、「自分の軸を持つ」「会社に対して求めることを決める」という考え方に触れたことは、大きな刺激となりました。私を含め、多くの学生にとって、今後の会社選びの指針を得られた時間となりました。