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地域の資源学生の目線

小豆島「島鱧」のブランディングに、
学生たちができること

  • 現代社会学部 1年次
    岩崎 温さん
  • 現代社会学部 1年次
    木下 陽さん

2017年4月に新設した現代社会学部は、プロジェクト演習として学生たちが地域社会のさまざまな課題に挑戦する。
地元の資源を生かして地域活性化を図る小豆島・土庄町(とのしょうちょう)では、「小豆島 島鱧(しまはも)」のブランド浸透・販路拡大に取り組んでいく。
地域の想いと学生の学びをむすび、共に成長と発展をうみだしていく。

今回、小豆島・土庄町との活動が実現した経緯を教えてください。

塩谷先生:2015年に京都産業⼤学と⾹川県⼟庄町が連携協⼒に関する包括協定を結んだのをきっかけに、現代社会学部でもプロジェクト演習の⼀つのフィールドとして、学⽣とともに⼩⾖島・⼟庄町の活性化に取り組みたいと提案をさせていただきました。2018年度からスタートするプロジェクト演習では、学⽣たち⾃⾝で「何ができるのか」「どう進めていくのか」といった活動内容を考え、実⾏してもらうことを期待しています。そのためにはきちんと現状を把握し、地域の⽅々ともコミュニケーションをとることが必要ですので、今は、私自身が土庄町の方としっかりとした基盤を作っていきたいですね。

須藤さん(四海漁協):土庄町としても、いろんな人の意見が聞ける機会というのはとてもありがたいので、ぜひ一緒にやっていきたいと思っています。これまで、小豆島近海で獲れる鱧をどう売り込んでいくかということを、自分たちで考えながらゼロから取り組んできたんです。九州や徳島、淡路島などさまざまな地域に視察に行き、いろんな方法を勉強してきました。それを持ち帰って、土庄町では何ができるかと考えて試行錯誤してきましたが、やはり何か行動を起こす際には新しい意見がとても大事なんですよね。自分たちでは気づかなかったところに発見があったりするので、学生さんたちの柔軟な発想に期待しています。

木下さん:今回小豆島を訪れたのは、「むすびわざ大学」というイベントで、小豆島の高校生に京都産業大学や現代社会学部の学びをプレゼンテーションするためでしたが、せっかくの機会なので、みんなで自転車に乗って島のよい所を見て回りました。実際に島を周ってみると、とても温暖で過ごしやすく、人々もあたたかくて、すごくいいところだなと感じました。できれば来年も小豆島を訪問し、もっと素敵なところを発見していきたいです。

岩崎 温さん
木下 陽さん
現代社会学部 健康スポーツ社会学科 
塩谷 芳也 助教
四海漁業協同組合 須藤さん

活動はこれからということですが、どのように進めていきたいですか?

木下さん:私は高校生のときから地域活性化に興味があり、今回、本学と小豆島で行われた「むすびわざ大学」のイベントに参加できてとても嬉しいです。地域活性化において地域外の方が参加する場合には、つい「自分たちのやりたいこと」をやってしまうと聞いていますが、「むすびわざ大学」では、自分本位ではなく「地域の人たちが作りたい地域をつくる」ことを意識して実施されているので、私も常に地域の方々と共通の目標をもって取り組んでいけるようにしたいです。小豆島に来て、地域の方が島鱧をブランド化するためのPR活動をされていたんですが、私は鱧がどんな魚なのかも知らなかったので、先程実物を見て驚きました。これからもっといろんなことを知るために、実際に鱧を味わったり、漁を体験させてもらったり、鱧や小豆島の良いところを知る機会が持てればと思います。

岩崎さん:私は実際に自分の体でその場に出向いて学ぶことがすごく好きなんですが、今回のイベント参加を通じてたくさんのことを学びました。インプットするだけでなく、アウトプットも大切だと思うので、この体験を生かし力をつけて、また、来年には土庄町でのプロジェクトに参加し、自らの体験を発信していきたいと考えています。そして私たちの想いを後輩に伝えていければ、プロジェクト自体もどんどん繋がって⻑期的な取組が可能になると思っています。そのためには、自分自身の力を十分に発揮できるよう、今は土台作りを頑張りたいと思っています。

須藤さん:私たち四海漁協では、漁師たちも若者も一緒になって、できることはなんでもやってみる、といった姿勢で取り組んでいます。「小豆島 島鱧」というブランドを立ち上げ、地域の高校生考案のデザインでブランドマークを作るなどしながら、商品として大阪をはじめとした関西圏に卸しています。島なので陸続きではないというハンデもありますが、逆に島だからできることもあるはずです。今後さらに認知を広め販路を拡大していくために、加工施設の設置や加工商品の開発などを計画しているのですが、その一環で、学生さんたちの新しい意見を取り入れていきたいと考えています。年齢に関係なく、意見を言い合えるような、そんな関係を築いていきたいですね。

塩谷先生:教員目線から言いますと、来年から始まるプロジェクト演習での経験が参加する学生にとって、社会に出るための意識改革機会になればいいなと考えています。社会には“視点を変えると見つかる魅力”があふれています。例えば鱧でも、どうPRしていくのか、地域の目線と学生の目線では、きっと感じるところも違いますよね。ですので、こういった経験を通して、さまざまな視点を持って新たな価値をうみだしていくプロセスというものを感じてもらいたいと思っています。そして最終的には、自分自身をPRしていく力に繋げていってもらいたいです。活動としては、今後のビジョンをしっかり見通して、地域と一体となって「どうすればいいのか」を徹底して詰めて考えていきたいと思います。何をするかを決めるのは学生なので、鱧を使った新商品開発でも、鱧をPRするイベントを開催するでも、何でもいいんです。自分たちでビジョンを定めて新しい価値を生み出していってほしいですね。

お二人は2017年4月新設の現代社会学部一期生ということですが、どういうところに惹かれたのですか?

岩崎さん:座学だけではなく、この様に学外に出て、現場で体験しながら学べるところです。せっかく学ぶなら、自分の目で見て耳で聞いて、体感したいと思いました。また、「視点を変えれば、世界が変わる」というキャッチコピーが心に響いたことも志望理由の一つです。先程先生も仰いましたが、同じ出来事でも見る人によって全く見え方が違い、捉え方も異なります。そういったことを知ることが、社会に出るための準備の第⼀歩だと思い入学を決めました。

木下さん:私は人が好きで、さまざまな⼈やコトをむすんでいくという大学のスローガン「むすんで、うみだす。」に惹かれました。地域活性化に興味があったこともありますが、地域と連携してプロジェクトを進めるだけでなく、自分自身のリーダーシップをつけるためのカリキュラムも組まれていたところが、他大学にはない取り組みでいいなと思ったんです。一期生として、これから先生方と仲間たちと一緒になって、この学部を創り上げていきたいと思います。

塩谷先生:現代社会学部では、フィールドワークを行う際に、きちんと筋道を立てて計画をし、モチベーションを維持して活動ができるような基礎力をつけるための取り組みを行っているんです。例えば社会学の講義でも、学習した概念を日常生活に落とし込んで考え、意見交換をする。そういったほかの学生たちとのディスカッションの際に、上手く議論をファシリテートしていく力を養うなどして、リーダーシップの訓練の場になるようにしています。二人にも、これから始まるプロジェクト演習に是非参加してもらって、さまざまな力をつけていってほしいと思います。

※掲載内容は取材当時のものです。

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