
研究テーマ
高校生に向けた研究内容の紹介
人と人工物(コンピュータ、ロボット、ゲーム等)との持続的な関係性を構築することを目的として、情報学、コミュニケーション学、心理学、生理学、デザイン学など、様々な学問の知識を取り入れながら研究しています。人と人工物の持続的な関係性が実現できれば、人に寄り添い続けるロボットの開発や、勉強や運動などのトレーニングをずっと続けていられるようなe-Learningシステムなどの開発が可能となります。
人間と人工物との持続的なインタラクション
京都産業大学のキャンパスには、"家"があります。スマートホームやロボットの研究をするための実験住宅「三Home(くすぃーほーむ)」です。
私の研究テーマは、「人間と人工物との持続的なインタラクション」。人工物は、ゲームやロボットなどいろいろです。例えば家庭内ロボットならば、どんな振る舞いをしたらずっと一緒にいても楽しいか。人間同士であれば無意識に"空気を読む"ということをしますが、ロボットは空気を読めません。「今盛り上がっているみたいだから黙っていた方がいい」「さみしそうだから近寄って話しかけよう」など、そういう判断をロボットが行い、自律的に行動できるようにするには、何らかの方法で人間の状態を測らなくてはなりません。しかし、人間のジェスチャーや表情をカメラで見たり、心拍数や発汗などの微妙な上昇下降から判断したりするには、ロボットのカメラやセンサ、マイクの性能では足りないのです。だから、IoTを駆使する。スマートホーム内に設置したセンサや人間が持っているスマートフォン、腕に着けているスマートウォッチなどを使って人間の情報を読み取り、その情報とロボットが連携してインタラクションを行う、といった研究が私の専門です。
研究室に、今、面白い研究をしている学生がいます。家庭用ロボットを購入して、初めてその箱のふたを開けたとき、起き上がったロボットが最初にどんな振る舞いをしたらいいのか?という研究です。例えば、たどたどしく転んでしまうような振る舞いをすることで「かわいらしいな」と思ってくれる人がいる一方、機能重視の人は「デキの悪いヤツだな」とがっかりしてしまう。この"がっかり"をなくすために、どんなことが必要だと思いますか?これも、人とロボットのインタラクションの研究の一つです。
こうしたロボットの研究には、さまざまな分野の知識が求められます。インタラクションを持続できるロボットを作るには、ハードウェアとソフトウェア両方の技術的向上が必須なのはもちろん、慣れや飽きといった、人間の特性を理解することも必要になるからです。
14号館の3階にある実験住宅にて。日常生活の中でのロボットの「適切な振る舞い」を研究する。
実験住宅は玄関まである本格仕様。研究室には小型ヒューマノイドロボット「Nao」があり、人と共に暮らすための実践的な研究、実験が行われている。
ゼミナール/研究室のテーマ
人間と人工物との持続的なインタラクション
人と人工物との持続的なインタラクションの構築は、人工物の技術(ソフト・ハードウェア)的向上のみでは実現できません。そのインタラクションを維持できる動機を、人に与え続ける必要があります。この研究室では、人工物に対する慣れや飽きといった人の振る舞いを客観的物理データとして取得し、そこで抽出された人の特性を理解することで、インタラクションを持続できる人工物の開発を目指しています。
ゼミ/卒業研究の紹介
私の研究室では、学生一人一人が強いモチベーションを持って研究に取り組めるように、それぞれの興味や関心を基礎としたオリジナルの研究テーマを進めてもらいます。VRやモバイルアプリケーション、ゲームの開発やそれらの客観的・主観的評価を行ったり、趣味(筋トレ、料理、楽器演奏など)の支援を行ったりするなど、学生のやりたいことを可能な限りサポートし、議論をしながら目標に向かって取り組んでいます。