川村 新

KAWAMURA ARATA
情報理工学部 情報理工学科 教授
学位
博士(工学)
専門分野
情報通信工学、ハードウェア開発、音声音響処理、適応信号処理

研究テーマ

音のリアルタイム処理システム

高校生に向けた研究内容の紹介

音声・音響信号をリアルタイムで加工し、人間にとって有益な信号に変換しています。例として、ノイズを除去するシステム、複数の人の声を分離するシステム、音に画像などを埋め込んで送信するシステム、発話や演奏音の分析結果をユーザに提示するシステムなどを研究しています。開発したシステムは、ソフトウェアやハードウェアに実装し、リアルタイム動作させて性能を検証しています。これらの技術は「信号処理」と呼ばれる学問が支えています。

「音」を自在に操って豊かな生活環境をつくり出す。-聴覚を支援・拡張する 次世代ハードウェアデバイス

音を加工して、人の役に立つものにする研究を行っています。例えば、雑音だらけの音声データから必要な音だけを取り出したり、複数人が同時に話している音声を1人ずつ切り分けるような芸当も、現代の情報科学では可能です。
こうした技術を応用していくと、将来的にはワイヤレスイヤホンのような形で、騒がしい店でも一緒にいる人の声だけが聞こえたり、目の前に人がいないのに人が話しているように聞こえる「立体音響」の技術も、より一般的にすることができるはずです。そうなれば映画館での音声、ゲームや遊園地のアトラクションも、今よりさらに臨場感のあるものにできるでしょう。
アナログな人の感覚を、デジタルな情報技術でどこまで楽しませることができるか。そのあたりが、この研究の醍醐味かもしれません。

ゼミナール/研究室のテーマ

音声・音響信号処理および次世代ハードウェアデバイス

日常生活にあふれる音声や音響信号は、聴覚を通して人間に知覚されます。そして我々は、たった2つの鼓膜の振動を頼りに、音源の数、方向、位置、また、それぞれの音源が何であるのかを分析できます。この優れた聴覚の仕組みに学び、音を分析、加工する技術について研究しています。例えば、環境ノイズの除去、複数音源の分離、聴覚VR、聴覚AR の実現などが研究課題です。

ゼミ/卒業研究の紹介

特別研究では、FPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれる集積回路に音のリアルタイム処理システムを実装する実験を行っています。また、PC上のソフトウェアとして動作する、音のリアルタイム処理システムの開発も行っています。この特別研究では、音楽や自分の声をリアルタイム加工する面白さを体験し、その仕組みについての理解を深めます。将来、音を扱う技術者や、FPGAによるハードウェア開発を目指す学生にとっては、基礎学習の場として活用できます。

プロフィール

兵庫県尼崎市出身です。高校卒業後は鳥取大学に進学。卒業後は福岡で電力会社向け製品に関する仕事をしていました。しかし、3年と9ヶ月で退職。鳥取大学に戻り大学院生になりました。これはとても良い決断でした。別に悪い会社だったわけではなく、私の受け身姿勢(どうやって仕事したらいいんだよ!?)が積極的な姿勢(知識を少しでも増やすんだ!)に変わった瞬間だったということです。その後は研究者・教員としてマイペースで過ごしています。

高校生へのメッセージ

得意なことは何ですか?数学?英語?プログラミング?ゲーム?寝ること?得意なことは、面白いことや楽しいことに含まれていますよね。そして、「知識があること」=「知識が無い人よりも得意なこと」だと思います。知識が増えれば面白いことや楽しいことが増え、なんと自分の価値が上がって収入まで増えたりします。大学では高度な勉強をするので知識は爆上がりです。ぜひ大学で知識(得意なこと)を増やし、面白く楽しい人生を送って下さい!