
研究テーマ
社会科学基礎論・政策科学・国際関係論
高校生に向けた研究内容の紹介
社会を学術的に分析するためには、多くの場合、信頼できる事実を集めて解析した上で、それを正しく論証するという手続きが必要です。技術的進歩と並行して、解析手段は飛躍的に発展していますが、論証に関する研究は置き去りにされています。後者は数学の証明に相当します。証明そのものの研究を数学基礎論と言いますが、社会科学に必要な論証の研究を社会科学基礎論と名付けて提唱しています。
ゼミナール/研究室のテーマ
コンピュータを用いた国際関係分析入門
論理、国際関係文書、データ科学、モデル分析
人間の二大能力—感性と理性—。後者の中でも論理力は、あらゆる知的営みに不可欠なもの。このゼミでは、知性の基礎となる論理的思考を鍛え上げること、そしてその思考力の国際関係分析への応用を目指して、3つのステップを踏んでいきます。最初のステップでは、大学専門(後期)課程で身に付けるべき論理力を、学生自身のトレーニングと教員や他学生への質問によって徹底的に訓練します。次のステップでは、その実践的応用としてコンピュータ・プログラミングを学んでいきます—第一ステップを終えた学生にとってその理解は実に簡単、これはさながら美味しい料理を作っていくかのような楽しみ—。第三ステップでは総仕上げとして、磨きをかけた論理的思考力とプログラミングの知識を使い、国際関係に関わる社会分析の方法を習得します。論理力、データサイエンスの知識、そして社会分析の方法を培った卒業生には、国内外のあらゆる場面で活躍することが期待されています。
ゼミ/卒業研究の紹介
論理学のテキストを読んだり、コンピュータ・プログラミングを学ぶことで、論理力を高めるとともに、「論理的であること」の意味を理解する演習を行っています。さらにそこで得た思考力と技術を用いて、(国際)社会のモデルを自身で作ることを実践しています。演習で得た知見は、国際関係の学術的な分析に役立つだけでなく、疑わしい言葉が乱れ飛ぶ現代において、その言説のいかがわしさを見抜く力として威力を発揮します。学生たちは、世界の出来事や言葉の隙間から社会の本当の姿を見つけ出すことができるように演習を通じて日々努力しています。
プロフィール
大学周辺の荘厳な雰囲気は、独創的なインスピレーションをもたらします。この比類ない環境における研究活動は至高のときであると常々感じています。東京大学助手(現在の助教)、早稲田大学准教授などを経て現職。連絡先: yamamoto@cc.kyoto-su.ac.jp
高校生へのメッセージ
本研究室では、現在の社会科学研究で用いられているアプローチとは異なる仕方で、国際関係・社会関係を分析することを試みています。皆さんには、人類の蓄積を温めつつも既存の権威的思考を有り難がっているのではない、創造的な発想と行動にますます磨きをかけていくことを期待します。