倉本 宜史

KURAMOTO TAKASHI
経済学部 経済学科 教授
学位
博士(応用経済学)(大阪大学)
専門分野
地方財政論、公共政策、財政学、交通経済学、公共経済学

研究テーマ

「地方公営企業の経営改善を阻害する要因とその解決策の検証」(水道事業の研究)、「コロナ禍での港湾・空港が受けた影響に関する基礎調査」、「公共施設等総合管理計画の内容と地方公共団体の歳出との関係に関する実証研究」「汚職に関する報道と公共ガバナンスの実証研究」、「地方政府の政策競争に関する財政分析」

高校生に向けた研究内容の紹介

地方公営企業が供給する水道や交通サービス、国と地方公共団体または民間が共同で運営する港湾・空港が抱える財政上の課題を明らかにして、どのような組織で、またはどのように運営資金を集めることで、その課題を解決できるのかを研究します。住民がより安全で安価なサービスを受けられる社会を作る方法を研究すると思ってください。

ゼミナール/研究室のテーマ

まちづくりや地域活性化を経済学で考える

学生の関心ある地域の社会問題について、まずは実態把握のために公的機関などへの聞き取り調査(フィールドワーク)を行います。そして、グループで各種のデータを用いた他地域との比較により問題の原因を探り、地域の問題解決策を考え、学内外で発表します。

ゼミ/卒業研究の紹介

ゼミでの研究テーマは『まちづくりや地域活性化を経済学で考える』です。地域内や地域間のヒトやモノの流れである交通に着目し、「どのような交通体系であれば、地域の生活はよりよくなるのか」や「そのために地方公共団体はどのような支援ができるのか」について研究します。また水道などの公共施設が、どのように運営されることで、地域住民の負担を軽くすることができるのか、にも関心をもって研究をしています。

プロフィール

私は山口県の出身です。関西では、大阪府箕面市と兵庫県西宮市に住んでいました。私の趣味が「まち歩き」なので、現在、歴史の舞台となった様々な場所を散策できる京都で働けて、大変幸せです。学生の皆さんとも、教育を通じて色々な「まち」に行き、人に会い、一緒に良さを発見できればと思います。また、学生の皆さんの学んだことが社会に立つことや、そもそもの学ぶ楽しさを伝えられればと思います。

高校生へのメッセージ

大学生生活は高校生が想像する以上に短いです。その期間を皆さんは大学生として成長するために大学に通います。そして卒業した後は「京都産業大学の卒業生」として生きることになります。私は皆さんが卒業後、「京都産業大学で学べてよかった。」や「先生に出会えてよかった。」と思えるような教育を心がけています。そのためにも、大学生の皆さんには本気で学び、本気で遊んでほしいと願っていますし、私は皆さんを本気で応援します。

経済学をリアルな社会に結び付ける-まちづくりや地域活性化を経済学で考える-地域が抱える問題をあぶり出し、経済学の手法で切り込む

地方財政論を軸に、地域に関わる政策の研究をしています。特に、地下鉄や市営バス、道路など、地域や人・モノの流れを生み出す交通に着目し、その交通網が周りの経済にどんな影響を及ぼすのかを掘り下げる交通経済学をメインに取り扱っています。

例えば、赤字が問題になっているローカル鉄道があったとします。鉄道会社からも「利用者が少ないので廃線にしたい」との声があり、地元住民も仕方なく受け入れざるを得ない状況において、鉄道マニアからは「価値があるから残してほしい」と反対の声が上がる。しかし、維持するために経済的な負担を強いられるのは地元の人たちです。感情的に訴えるばかりではなく、鉄道を残す具体的なメリットを提示しなくてはなりません。

ゼミでは交通だけにとどまらず、地域が抱える課題全般を経済学の手法で解き明かすことをテーマにしています。まずは、経済学の考え方の1つである「市場の失敗」をもとに問題を提起。「市場の失敗」とは「子どもが遊べる公園がない」や「騒音が発生している」など、人々の経済活動の中で生まれる悪影響を意味します。
2年次にはフィールドワークを中心に実際の問題を発見する力を磨き、3年次にはデータ分析や論文執筆を通じて、問題の解決策を考え、ステップアップしながら研究を進めます。

地域経済を考えるということは、地元の人たちがどうしたら幸せになるのかを考えることです。そして問題があれば、論理的な考え方と客観的根拠を組み合わせて、いかに説得力のある解決策を提案できるかが重要です。
ゼミでの学びを通じて、これらの力を存分に伸ばしてください。